淡き花。二十話 天のはしご | 彩希 ユキノの花舟@微笑℃ルーム
イメージ 1
 
 

淡き花。二十話 天のはしご

『天の梯子(はしご)』
三浦綾子著
 
あの時のうわさの人の名まえが 華のパソコンに浮び上がっていた。
 
中学生の時、じっと華をみつめた男の子がいた。
彼は、エレキギターを持ち、高校でドラムを始めた。
 
華はずっと彼に 寄り添っていた。
髪を肩まで伸ばして アンティークなサイフォン式のアルコールランプで
ドリップしたコーヒーを華が彼の部屋に遊びにいくといつも入れてくれた、
ジャズのレコードが暗い部屋中にひびいていた。
 
だれかが華のそばでささやいた言葉。
 
「彼の親戚には 三浦綾子という人がいるのよ」
 
そのころの華には 三浦綾子も曽野綾子もいつも頭でこんがらがっていた。
 
ただ「氷点」というテレビの番組の熱いものは、華にも解っていた。
彼の詩を見せてもらったことはあるのだが
華にはとっても難しい内容だった。
 
「光りと影・・・」
このころは この言葉はちまたの流行語のように使われていた。
彼のこだわりとは・・・ 三浦綾子という人だったのだろうか?
今では ただのうわさ話なのだろうけど・・・・。
 
 
華は 幸は お腹の一部分を切除したから
ショウガイなのだとみんなに説明をする。
 
でも誰もその話を本当には聞いてはくれない。
 
お腹の大事な部分を切ってない人には
解らないショウガイのようなのでした。
 
 
だから、そのショウガイでおこる非社会的行為を
華に 団叫(だんきゅう)してくる。
 
 
この非社会的現象は 幸のせいでもなく華のせいでもない。
 
 
お腹の部品を出したからのショウガイのせいなのです。
 
 
お腹の部品を出さない人に幸や介護する華の気持ちなんて
解るはずもない。
 
 
一生 この重い荷物をしょって生きるのに
『直せ・・・!』と押しかける誰かを信じられない。
 
だから、
「お腹の部品を出して ないから、機能しないだって!」
 
そんな問答を永遠に繰り返している華だった。
 
 
そんな華に幸が外で働く力をつける場所にさよならしたその夕方、
天の梯子(はしご)が天に向かって暗闇のくもから
大きな光りを放っていた。
 
 
華と幸には もっと違う何かが与えられて生きるよう、
神さまが呼んでいるようだった。
 
 
天の梯子(はしご)が かかったのだった。
 
 
華は 出版社の投稿を済ませていた。
2000円分の図書券なのだけれど、
華の初めての原稿料のようなものだった。
 
 
未知男さんに「原稿料、もらったのよ・・・。」
と楽しげに話した華だった。
 
 
それと華の出した本が中古本で4倍までの値がついていて
少しは誰かにちょっぴりは 評価されたんだなって
未知男さんに自慢げな華がいた。
 
(えっと、ローズインファンシーショップの続きを・・・)
 
 
つづく