
淡き花。 九話 <冬至2010 古家の中で・・・>
古家のあさは 暗い闇につつまれていました。
痛いような寒さで
華は 足をつらせてしまっていました。
ファンヒーターのスイッチを入れて
ひきつった足をかばいながら
くらい闇の中で 体を丸めて温めていました。
(ふうー、いた~い・・・。)
と言いながら、
つった足を さすっていました。
体を 温めているうちに
だんだん窓の外が白んできていました。
(ん、少し 寒さもやわらいだわ、
足も なんとか 直ってよかった。)
話相手のように
テレビのスイッチをつけた華でした。
あいかわらず
華の古家のテレビはもうすぐ処分になるかも、の
残り少ない命を燃やして まるで生きているように
スイッチが ついたり消えたりと
ずうずうしく華に おはようの挨拶を
していました。
つい 華も そのずうずうしさに
ねぼけまなこで
(おは よう~)とつぶやいてしまっていました。
(21世紀なんだから
テレビも遠くから 携帯で消せる時代って
聞いた・・・、
ポットの電気も 家の電気も消し忘れは
携帯で外から消せるらしいからね~、
このテレビも
それかな~、
技術は 優れものなのですが
日常では 余分になって
消えていくこと
それが 日常で 起きるとオカルトなのかも・・・、
おいおい、テレビ君 ここの四角い箱のこの中に
誰かぁ~ 住んでいるの~?
小さいときのテレビもみんな疑ったんだっけ・・・
このブラウン管の中に人が入ってるって・・・、)
と華はぶつぶつ頭の中で言いながら、
(やっぱり、古いから
調子が悪いだろうね~、
それが 無難で普通で しあわせということ、
それにしても~
愛嬌、いいね~
いつも
まるで・・・
生きているみたい・・・、
それとも~、宇宙人がぁ~ 操作してるとか?
宇宙人さん、はじめましてって
ずいぶん 長い間 付き合ってるね、
こわれだしたあの日から・・・、
宇宙人だったら、
このテレビがカメラで 向こうの受像機に
古家が映っているのかも・・・、
華は たいした人間じゃないし~
見るには モデルじゃないし~
たえられないじゃないかなぁ~、
来年は地上デジタル放送に変わるから、
ケーブルテレビさんのこのテレビの無料延長が終わったら
君とも お別れ なんだよね~・・・)
と華は ねぼけまなこで
その こわれかけたテレビをみつめていました。
華は きょう 書き込むブログの小説のねたを
あ~でもない こ~でもない
とふつふつと考えて家の中を
うろうろ動きまわっていました。
だんだん明けてくると
あさの闇の寒さは どこかに飛んでいってしまって
ほかほかのお昼でした。
そして
こころの中の花。は
(何やってるの、
さ、今晩も夕食マーチ
据え膳じゃ~ないし、華が作らないと
夜はなし?なんて大変・・・、
家で作れば安上がり 栄養も運動にもいいんだよ。
ファイト ザ~ 華・・・)
と華を応援した花。でした。
きょうの夕焼けは
赤い紅の夕焼け
もこもこの羊雲のような
くもを浮かべた立冬でした。
華はこの夏に 大きな龍の形のくもが
横たわるのを見たので 写真に撮りたかったのですが
車の中だったったのでやめたのでした。
かなわぬ夢だから、ずっと夢を見ていられる・・
野球の日本シリーズの虹に
勝っても負けても
あの夏のそらの上で
白い龍は 大きくはばたいていたんだと
はらはらどきどきの試合を
華は 気にかけていました。
つづく~