もりは
長月に入って
初めての雨
なぜか 月が雨を呼ぶのか・・・、
なぜか 月様に姿を見ると 雨・・・、
もりの古家に
ダンダンダン、
トントントン
パラパラパラ
ダダダ、と
さまざまに降ったあと
涼しげな空気に
虫の音が鳴いた・・・。
のげつ橋の川面では~。
ちょうちんの明かりに
ゆらゆらとゆれる
小袖にうつむいたかかの君が
舟にゆられていた・・・。
もう からし山のよるは
とっぷり 暮れていて
こもる音に
その姿が
かげろうのように映っていた。
舟と舟は
船頭の粋な計らいで
川面にゆれる舟どうし・・・、
横付されていました。
”お~、
いとしきかの君、
ここで 逢ったが百年め、
なんて こうごうしい君なんだろう・・・、
今宵は 君の舟に乗り移り
この世の逢瀬を
いくつしもう・・・。”
と言いながら
舟を乗り移っていった。
”宙ちゃん、ペリカン君ありがとう、
お礼にこの数珠、
いや、ブレスレットを
渡そう・・・、
生きるために伴侶を
探すことも 大切だね・・・、”
とヒカル銀二は ブレスレットを
宙に渡した。
”飛びごろもは
星降るマントじゃないの?”
と宙は聞いた。
”これは、おいらの飛びごろもさ
本物の君の探し物は、
そのブレスレットに 秘密があるようだね。
探しなさい、
求めなさい、
求めつづけなさい・・・、
いつか、訪れるその奇跡を・・・、
おれもこの人が運命の人か
解らない・・・。
でも いとしきかの君
求め続けるんだ・・・、
体には 充分気をつけるんだ・・・、
では、今宵はここで・・・、
”
とヒカル銀氏は言いました。
”ん、宙は 月様に逢えるまで
がんばる。
あともう少しで ブレスレットも
集まるし・・・
もりは秋に 近づいた・・・。
あの日 森にきてから
もうすぐ 一年・・・、
飛んでみせる・・・。”
と宙は言いました。
”そうかい、宙ちゃん、
いつか 飛ぶんだね・・・、”
と船頭さんが 宙のなまえを呼んだ。
”あ、くろいメガネのウサギさん・・・、”
と宙はいいました。
”あそこの山から、
でっかい機関車の駅がある・・。
その機関車に乗ってもいいんだよ・・・。
ユン・ユンユン・・・”
とくろいメガネのウサギさんは
魯をこぎながら、言った。
”宙は星降るマントを手にいれて
生きる力を手に入れて
月様まで 飛ぶんだ・・・、”
と宙は言いました。
”そうかい・・。”
と
くろいメガネのウサギさんが言いました。
”いそげ、いそげ、
飛んでいける時間の空間の扉は
決まってる時間までさ・・・、
扉が閉まったら、アウトさ、”って
と船頭の首にぶらさがってる
電波時計は口をゆがめながら言った。
”え?なに?
そうなんだ、
じぁ~、いそがなくちゃ・・・、”
と宙じゃ言いました。
もりのよるは
また かっちりきっちり
暮れて行き、
涼しい夜を演出していました。
もう長いこと
よるを迎え続け
また、
古家の夜は
ふけて行き、秋の深まりを
迎えようとしていました。