もりのあさは
白く明けて
虫の音
流れるうろこ雲の
しじまに
お日さまはかくれて
見えなかった
からし山は
のげつ橋の川べりに
そっと寄り添い
月様を浮かべて
ひと時のときのしずく。
屋形舟の粋な遊びに
酔いしれる人々を
なぎの風で
見守っていた。
”かの君は いずこの船に~”
とヒカル銀氏は言いました。
”きょうは
なぎの風で
舟遊びの舟がたくさん出てるね~”
ペリカンくんは
言いました。
”あの舟にすれちがうよ、
あの舟に乗っては
いないのかしら?”
と宙はいった。
だんだん
舟が近づいてくると
酒盛りに酔いしれる
すみびとたちだった。
”ちがう、
乗ってはいない・・・。
いとしきかの君・・・
君はいずこに~”
とヒカル銀氏は言いました。
”あの火の燃ゆる舟のうしろ・・・、
ちょうちんの明かりに小袖が
見えるよ・・。
かの君・・・。じゃ~ないの?”
と宙は言いました。
だんだんその舟は
近づいてきました。
鵜が 鵜匠の魚をくわえたそのときに
その舟は、宙たちの屋形船のとなりに
並びました。
ちょうちんに映し出されたその姿は
十二ひとえの小袖の君がゆらゆらと
光りにゆれていました。
もりのよるは
かっちりきっちり
やってきて
もう、月様の姿は
見えず、
”宙よ、
ここまで飛んで来いよ・・・”
と言い残して
また姿を消したようでした。