フライ トウ ザ MOON歩み(255) | 彩希 ユキノの花舟@微笑℃ルーム
もりのあさは
白く明けて
虫の音

流れるうろこ雲の
しじまに
お日さまはかくれて
見えなかった

からし山は
のげつ橋の川べりに
そっと寄り添い
月様を浮かべて
ひと時のときのしずく。

屋形舟の粋な遊びに
酔いしれる人々を
なぎの風で
見守っていた。

”かの君は いずこの船に~”
とヒカル銀氏は言いました。

”きょうは
なぎの風で
舟遊びの舟がたくさん出てるね~”
ペリカンくんは
言いました。

”あの舟にすれちがうよ、
あの舟に乗っては
いないのかしら?”
と宙はいった。

だんだん
舟が近づいてくると
酒盛りに酔いしれる
すみびとたちだった。

”ちがう、
乗ってはいない・・・。

いとしきかの君・・・
君はいずこに~”
とヒカル銀氏は言いました。

”あの火の燃ゆる舟のうしろ・・・、
ちょうちんの明かりに小袖が
見えるよ・・。
かの君・・・。じゃ~ないの?”
と宙は言いました。

だんだんその舟は
近づいてきました。

鵜が 鵜匠の魚をくわえたそのときに
その舟は、宙たちの屋形船のとなりに
並びました。

ちょうちんに映し出されたその姿は
十二ひとえの小袖の君がゆらゆらと
光りにゆれていました。


もりのよるは
かっちりきっちり
やってきて
もう、月様の姿は
見えず、

”宙よ、
ここまで飛んで来いよ・・・”
と言い残して
また姿を消したようでした。