そっとお日さま上がる位置は
ほんの少し北よりに高い位置に
居場所を変えて
穏やかな晴れ
まぶしすぎたら暑いかしら
と時折くもにかくれるお日さま
澄んだ青空と水彩画のしろの筆で
パリふうなすじ雲の流れるような
曲線でそらに 落書き
そんな水無月のある一日を
コピーされたようなうすいもりの
ゲームセンターのパノラマが
映しだされていた
そんなはるか彼方の
ソラでは
光がきらりと光っていました。
”宙ちゃん、なんだ~ わんだ~
す・す・す・いこまれる~”
と小さな男の子は言いました。
”しっかり、じゅうたんにつかまって~
振り落とされないでね~~、”
と宙は言いました。
”い・い・い~、 いきができない~・・、
どうなる~んだ~・・・、”
と小さな男の子は言いました。
”あれ~、機関車に乗っているよ・・・、
そして、ここは・・・? どこ・・・?”
と宙は言いました。
”どうやら、月面着陸したらしいよ、”
と小さな男の子はいいました。
”でも、宙の知っている月様は
光り輝くおちゃめな月様なのに
どうして、なんか、くろくて
でこぼこしてるよ~・・・
どうしちゃんだろう?”
と宙はいいました。
”月様も必死に何かを求めているから
くろく でこぼこでやっているから、
お日さまが手を差し伸べてきれいに
光らせているんじゃないかなぁ~”
と小さな男の子は言いました。
”そうなんだろうか?
ここは、月様の血と汗の結晶なんだね・・・、
月様、宙は 月様に逢いにきました。
お元気ですか?”
と宙は月様に語りかけた。
”宙よ、
宙よ、よく来た、よく来た、
うれしいぞ・・、
羽根を見せてごらん・・・、
おぅ、きれいな羽根が生えてきたな~、”
と月様は月上に響くように
言いました。
”宙は、月様に逢えてうれしいです。
ずっと、ずっと、
その思いで ここまで来ました。”
と宙はいいました。
”そうか、そうか、よく来た
がんばった・・、いっしょにいような、宙・・、”
と月様は 月上に響くように
言いました。
”じゃぁ、この旅もここで
終わるのね、”
とスケッチブックに
『終わり、よかった。』と
宙が書いたとたん、
そらとぶまほうのじゅうたんが
ふわりと宙たちを機関車から
すくい上げて
またまぶしい光に包まれたのでした。
”わんだ~・・、なんだ~、
どうなるんだ~・・・、”
と小さな男の子は言いました。
”また、しっかり
じゅうたんにつかまって~、”
と宙は言いました。
ハイビジョンから飛び出た二人は
落ち着いて
ハイビジョンを見てみました。
紺色のソラ空間に
宙の書いた『終わり、よかった。』と
でていました。
しばらく
ふたりは きょとんとしていました。
”どうやら、宙ちゃんの物語の中に
入っていったようだね。”
と小さな男の子はいいました。
”え、また、月様に逢えたのは
フィクションの物語の中だったんだ~。
なんだ~、
なんか、ほんのすこし喜んでしまって
・・・・、宙は悲しい・・・、淋しい・・・、”
と宙はいいました。
”とにかく、このすごろくで
ゴールしてたまご投げゲーム会場へいこう、
そういうことなんだ、
元気出してね、”
と小さな男の子はいいました。
”え~?なんだ~、そうなの?
でも、
ハイビジョンの浮かんでるソラと
そらとぶまほうのじゅうたんのソラは
つながっている。
ほんとうの月様にところへも
きっときっとつながっている・・、
きっと、きっと、月様に逢えるよね、きっと、”
と宙は言いました。
飛び出してきたハイビジョンの浮んでるソラと
宙たちのそらとぶじゅうたんとのあいだには
蛍光塗料でぬったパンくずが
ほしくずのようにハイビジョンの映像の中の
『終わり。よかった。』の中の奥まで
点々ときらめいていました。
”宙ちゃん、次の こまだ~、
さいころを振って、行こう・・・、”
と小さな男の子は言いました。
あいもかわらず、
コピーされたようなうすい森の
ゲームセンターのパンラマは
夜のくろとなり
うすい紗のようなくもを張って
天にふたつ星を光らせて
暑くもなく
水無月の紺晴れのソラを
いろどっているのを
映していました。