淡き花。六話 | 彩希 ユキノの花舟@微笑℃ルーム

イメージ 1

"はい、見学の方ですね、
今 このコースは 満員ですが それでもいいですか?”
と文化センターに受付けの人にいわれました。

”はい、いいです、小説に 興味があって、
少し 書き方を 知りたいと思いまして・・・。
いいですか?”

”いいですよ・・・、こちらの名札をつけてください。
ご案内します。”
と その高いビルの迷うような回廊を
案内されました。

”初めてなので どうしたらいいものかと思います。”
と 受付けのひとに歩きながら
話しかけました。

”そうですね~、30分ぐらいしたら
出てきてくださいね、・・・、”

”あ~、はい・・・。”

”こちらです。”

と案内された場所は 美術教室のなかの白っぽい教室でした。



中には 6、7人のある程度、

経験を 積まれた重厚な面持ちの年を重ねた方たちが

おみえでした。

華は 自分に見学という 立場上の席を 目で探していました。

隅の奥の方の席を 選ぼうとしたら、

こちらへどうぞというように その方たちに

なにげに呼ばれ、その中の席に 入れてもらい事ができました。


”では 、人数もそろったようですので、はじめます。”
と講師の方が 始められました。


その内容とは 自分で書いてきたものを

皆さんに 読んで頂いて感想を 述べるというものでした。

そこにそろった方の 体験や想いが 読まれ

ぞれぞれに 感想を述べられていきました。


華は いたいような気ももするし、

ここに いてもいいのか、そわそわそながら

時計を みつめていました。


こんな風に 書くということを 勉強するんだ
と感心していました。


やはり、こころは落ち着かず、

ふと 目のやり場に困ったとき、

窓の外に 大きな電波塔が 華の目に映りました。



( あ、電波塔、あいかわらず 
  いつも そこに 大きく 立っているんだね、
  おひさしぶり、 華やぐ希望のとき いつもそこにいたよね、
  最近も ちょくちょくこの辺まで きて 君をみかけるんだよ。

  ずーっと そこにいるんだよね・・・、 )
  と華は思いました。



華は 小さな頃 その電波塔に 階段で登ったり
何度もきて 展望台にあがり、
おやまの大将のような 気分になって
360度のパノラマを 望遠鏡でみたりして 親しんでいました。

短大を卒業してからの 就職は この街、
電波塔の見える街に 縁があり
電波塔のそばで しばらく 働いていました。



( あ、久しぶり・・・だね。 )



そして きょう この窓からの電波塔が
親しく 見え なつかしく 思いました。


初めて 勇気を振り絞ってきた この場所は
初めての知らぬひとばかり、
なじみの顔は 電波塔の 顔だけでした。


外国の旅行記が 書かれたプリントを
丁寧に 見せていただき、


時間が来たので 
華は、
「素敵な 文ですね、」といって
その場を離れた。



まよいながら 受付けにもどって
「ありがとうございました・・・。」
と一礼をして
立ち去ろうとしたら あわててて 名札をはずす事を
忘れていました。


「 あ、すみません、名札を・・・、」
と受付けの人に言われて



「あ、 あ、 どうも・・・」
といって 名札を 返して その場を
立ち去りました。


宙を飛ぶような エレベーターにまた乗り
空中廊下のような 帰り道を探しながら
エレベーターを降りました。


スタジオの光は もう静かになっていて
「ふっー。」とため息をついて
底を出ました。



帰りの駐車代が 払えるかどうか
解らなかったので
ATMまで 行くことにしました。


ファショナブルな その街は
人を 惹きつけてやまない その街 特有な においがしました。


華は ATMで お金をおろして
しばし そこに たたずみながら
そこを 歩くことにしました。


やや そこは 閑散とはしていましたが
街として いきづいている呼吸が聞こえていました。