上田文人監督の作品は今までにICOをプレイしたことがあるだけで、ワンダと巨像は動画サイトで少し拝見するのみである。 PS3HD版ICOで楽しめた光と影のコントラストが、PS4でどのように表現されるのか気になっていた為、今回人食いの大鷲トリコをプレイしてみることにした。
およそ13時間の不連続プレイにて完遂。 プレイが終わってみると、最初から最期まで一緒に動いたトリコに対して少なからず愛着を感じた。 まるで猫のような挙動だと感じられたが、それは多分にこちらの指示に従ってくれないこともあったのだろう。 ペットを飼うというのはこういうことなのだろうか。
ICOとトリコの違いとしては、まず、相方の大きさ。 ICOでは少女の手を引いて誘導が簡単だったが、戦闘面ではあまり役に立たないことに(当然ではあるが)少しばかり欲求不満を感じた。
しかし、大きな相方を梯子代わりにしてオブジェクトの上に乗ったりできることは移動梯子を入手したかのように感じられてとっても愉快であった。(当然トリコがうまく誘導出来ないときは其の限りではない。)
今作では相方は誘導が難しかった。ICOでは追従以外に特に何かコマンドがあった訳ではないので、比較することは難しいが。 追従させることは容易ではあったが、逆にトリコの上に乗って指示を出したりする段になると途端に追従以外の指示をうまく読み取れないのか、終盤で登った灯籠をまた降りて登ってを3周程繰り返す内に、私のほうがうまく登れると思った程だ。 戦闘面では非常に頼りになる相方ではあるが、戦闘力をほぼ相方に依存している為、そういった意味ではフラストレーションが溜まった。 しかしまたこういった趣向も面白いものである。
周回を重ねればプレイヤー側のスキルも向上し、落に戦闘をこなせるのだろうか。
以上が概ね抱いた不満点である。 しかし、これらの不満点もゲームを楽しむ一つの要素として存在するのかもしれない。 指示にうまくしたがってくれないトリコも生物由来の気まぐれさと考えれば納得し、世界に没入できるのだろうか。
良かった点としては、E3のトレイラーで見た、石塔の崩れるようなモーションを身近で見る機会がなかったことである。 トレイラーでは壊れる石塔の密度が異様に軽く感じられ、本当に石造なのか違和感を抱いていた為、うまくその危惧が解消されたといえる。
また、当初から期待していた光と影の演出が非常に綺麗で楽しめた。 序盤の木の木漏れ日などが非常に美しく感動した。 終盤で日が落ちてきてからはトリコの羽毛が夕日に照らされる部分の逆光めいた光がうまくできていると感心した。
また、トリコの挙動も実際の生物めいてうまく作られているものだと思った。 特に動作と動作の間の隙間がどうなるか気にはなっていたが、うまく処理されていて得心した。
例えば、主人公が銅鏡を拾う時など、用意されている拾うモーションに対して吸い寄せられるような挙動で通常の挙動と拾うモーションの間隙が処理されている。 トリコの挙動はそれに対して生物として違和感のある挙動は全く見受けられず、没入感がました。
総合すると、猫愛好家の人には是非プレイしてもらいたいゲームである。