父が亡くなって今日で一年
父の居ない日常には慣れてきましたが
聞きたいことがあって実家に行っても
答えてくれる父は居らず
スマホの検索エンジンで調べるのが関の山
なんか
物足りないなあ

口うるさい父でしたが
父に聞いてもらいたい
うるさいことを言われても
意見を聞きたい
ということが
まだまだたくさんあります

それに気付いたのが
亡くなってからだなんて
いえ
亡くしたから
なのかもしれませんね

空を見ながら
父に語りかけることが増えました

今日は朝から
父の好きだった虎屋のお羊羹と
狭山の美味しい新茶を買って
実家に向かいます

宇治の新茶は先日持って行って
一緒に飲んだから

お兄さんも
わざわざ休みを取って
来てくれるし
良かったね

お父さん(お母さんも)
待っててね




去年の私のフェイスブックへの投稿を
転記します
私が忘れないために

父のことばは
覚えていたいと思っているけれど
今読み返してみると
あ、そうだったよねうーん
なんて思います

改めて
もう一年経つのですね
あの時の気持ちはまだ
少しも乾いていないけれど







2018.6.16

昨日、父が空に還りました

アメリカの詩人エミリ・ディキンスンの研究に生涯を費やした父
書斎の本棚の一部は床から天井まで全てディキンスンの文献で、詩集の棚をざっと見ても、全集、和訳、独訳、仏訳、その他種々様々ありました
机上には最後に勉強していた書き付けがありました
それは一昨年の訳に推敲を重ねた790番の詩でした
最近は仏教の勉強にも凝っていて
リビングに本やメモが積まれていました

引き出しにしまわれた何十年分かの小さなスケジュール帳には、家族やその他の出来事が几帳面に記録されていて、私のコンサートへの感想も見つかりました

今の気持ちをあらわしたくても
思いは言葉を超えてずっと大きく深く重くて
ことばは何も出てきません
形もなく掴むことのできない気持ちを言葉で紡ぐ「詩」を
命が終わる直前まで追究した父

うたはこころだ
ざらざらしたものだ
下手過ぎてはイカンが巧いのはもっとつまらん
知識ではなくことばを勉強しろ
地味で良い地道が良い
多勢に好かれようと思うな
見せかけに騙されるな誤魔化すな

他にもたくさん言われたけど思い出せない
口煩かったからちゃんと聞かなかったけど
もう一度聞きたい

私はずっとお父さんにそっくりと言われて来たけど
私の息子は若い頃のお父さんにそっくりです
ありがとう、て言いたいのに
涙ばかり溢れるのはどうしてだろうね





2018.6.21

父逝去の際には、たくさんの方からあたたかいコメントやメッセージ、お心遣いをいただき、とても慰められました。心より御礼申し上げます。

お陰さまで先週の土曜に無事葬儀を終えました。
母も高齢なので実家との往復は続きますが、また新たな日常を作っていくよう過ごしてまいります。


以下、私の覚えも兼ねてのご報告です。

84歳で体重が40キロあるか無しかの父は、先月5月25日朝に意識を失って入院しました。人工呼吸器を挿管し、寝たきりになることも覚悟していましたが、母と家族で毎日付き添って励ましているうちに、数日で管が次々抜けてリハビリも順調、あっという間に伝い歩きが出来るまでになりました。
その予想もしなかった回復力は、若い看護師達にとても勉強になったと看護師長さんから言われるほどでした。
普段、辛いことには言い訳と文句ばかりの父ですが、老いて頼りない母を一人にするのは忍びなかったのでしょう、必ず家に帰ろうと力を振り絞って頑張っていたのだと思います。
家族も、このまま一度は帰れることを信じていましたが、リハビリ病院へ転院する手続きをする6月12日未明に病院から連絡が入り、その朝静かに旅立ちました。

父は立派な業績を遺した訳でもなく、子煩悩だった訳でもなく、ただ自分の好きな本を買いまくり読み漁り、言いたいことを言ってきた、ただそれだけの人ですが、間違いなく私の父であった人で、今はそれで充分です。
死には二つあって、肉体の死は完全な死ではないと言います。
父のたくさんの言葉たちはすでに私の一部となっていて、私が生きている限り父の温もりとともに生き続け、良きも悪しきも教え諭し考えさせてくれることと思います。

どれもありふれた当たり前の言葉ですが、思い出したものを記します。

友だちを大切に
謙虚であれ
いつも明るく
枝葉末節にとらわれるな
だめなものはだめ
土台は時間をかけて焦らずしっかり作れ
骨組みは崩すな
子どもは自由に、本人に任せて放っておけ
無くならないものには金は惜しまず使え
金が無くとも無いと言うな、うちに無くてもあるところにはある(そりゃそうだよ)

(孫コータローに対して)
伸び伸び好きなことをやれ
細かいことで一喜一憂するな
何事も良すぎてはいかん(父自身出来が悪かったから!)
悪い女にだまされるなよ(これは何度も!)
仏教を勉強しろ(遺言w)
最後は人柄

父本人だってどこまで出来ていたのやら、勝手なこと言ってるし、とも思います。
父は現世の理想は次代に押し付け、当人は空の上でモーツァルトや昭和の流行歌を聴きながら、どこ吹く風で色鉛筆片手に本を読んでいるのでしょう笑

心残りなのは、もう一度父に美味しいお茶を飲ませてあげたかったのと、もっと歌を聴いてもらいたかったこと。
入院の2週間ほど前、京都で宇治の新茶と和菓子を買って届けた時の父の喜んだ顔は忘れられません。
来年もまたその先も、新茶の季節には一保堂の新茶を買って、父のおもかげと一緒に味わうんだろうな。

ご心配くださった皆さま、ありがとうございます。
私は元気です。
またよろしくお付き合いお願いいたします^ ^