第24回「国本はる乃ネタおろしの会」 | みつ梅の古今東西かべ新聞

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浪曲、歌舞伎を中心に観劇の感想を書かせて頂いております。
拙い文で恐縮ですが、よろしくお願い申しあげます。



浪曲道楽亭
第24回「国本はる乃ネタおろしの会」
◎2019年6月30日(日)・13:00開演。
●於、道楽亭Ryu'sbar

『雷電初土俵』
国本はる乃、曲師…沢村豊子
『琵琶の湖水乗切り』
宝井琴柑
ー仲入りー
『筑後川の義人』
国本はる乃、曲師…沢村豊子


若手浪曲師の国本はる乃さんが、隔月で開いている道楽亭のネタおろしの会も早いもので24回目を迎えました。
第1回目から足を運んでいますが、もう4年も経つのかと時の早さに驚きました。毎回ネタおろしをしているので、24席を読まれたことになりますが、どれも完成度が高く驚かされています。

今回は恩師国本晴美師匠の勧めで、今は読み手のいない『筑後川の義人』に挑戦をされました。
大干ばつから農民を救うため、命を掛けて筑後川の治水工事を行った久留米の五人の庄屋と郡奉行高村権内の物語を昔懐かしい節回しと迫真の啖呵で読み切り、大きな感動で客席を包みました。
はる乃さんにいろいろな節を勉強して欲しいとの思いで、晴美師匠はこのネタを勧めたそうですが、師匠の期待に応えて勉強をされ、大きな収穫を示しました。はる乃さんの和の趣と相まって、浪曲黄金期の浪曲会に来ているような雰囲気に浸りながら聴きました。
やはり浪曲は節が大切であると思います。

一席目はこの会でネタおろしをし、今でははる乃さんの十八番の一つになっている『雷電初土俵』を読まれました。
雷電の相撲に掛ける純粋さと情熱が、浪曲に掛けるはる乃さんの思いと重なっているように感じ、感慨深い思いがあります。
格調の高さとユーモラスさを併せ持つ芸は、強い武器であり、そこを生かしてこれからも頑張って頂きたいです。


ゲストに講談界の花形、宝井琴柑さんが迎えられ、明智左馬之助の湖水渡りで華を添えられました。
聴き応えのある軍談読みで、浪曲とは違う講談の魅力を提示し、琴柑さんの高座に魅了されました。
一番の聴き所である琵琶湖を左馬之助が馬で渡る所は、琵琶湖の情景が浮かんで来るようでした。現代の様子も挟む所も興味を惹き付けられ、とても良かったです。
講談も松之丞さんが注目されていますが、素晴らしい若手がたくさん出て来ています。

三味線は名人沢村豊子師匠が勤められ、はる乃さんをサポートされました。


最初にはる乃さんがこの会で24席をネタおろしをしたと申しましたが、おろした後に読まれていない良いネタもありますので、機会があれば出して頂きたいなと思います。