「模倣犯」を読み終えた。
登場人物がいずれもリアルに生々しく描かれていて、すごく立体感のある秀作 だった。通勤時間 が楽しみになるほど没頭できた。読んでよかった。
しかしちょっと難癖をつけたい箇所が2つほど。
①ピースの破綻があっけなさ過ぎる。
あれほどの天才ぶりを発揮していたのに、最後は滋子の思いつきのトリックにまんまとハマってしまう。ハマっちゃってもいいんだけど、ならばそこに至る伏線をもう少し充実させて欲しかった。
②「犯罪の温床に家庭あり」の鉄則が通りいっぺん
犯罪の根本的な原因になっているルーツを探っていくと、そこにはことごとく歪んだ家庭環境や親の離婚に行き当たる。犯罪を犯す側だけでなく、被害にあった側の女性たちにも多くのケースで、家庭が悪いから家を出て犯罪に巻き込まれた、みたいな設定になっていた。まぁ一番説得力があるし、事実家庭環境と犯罪の関連性はとても強いのだろうけど、だからといって何でもかんでもそれが原因かいっ!て思われちゃうような描き方はどうだろう?しょせんフィクションの物語なんだし、もう少しバリエーションを持たせても良かったんでないかなぁ。
好きだった登場人物は有馬義男。
強くてやさしい男。含蓄のある言葉には何度も胸を打たれた。こんなじーちゃんになりたい。塚田真一は彼に出会えて本当によかった。前を向いて生きていけ。
そして昨日、映画の 「模倣犯」をDVDで観た。
最悪だった。
ダイジェスト版か?本を読んでない人はストーリーについていけるのか?
観る必要のないものを観てしまった。