今でも時々思い出します。
とある酒場のカウンターで、
一緒に行った仕事場の皆と離れて一人酒を飲んでいると、
隣に一人の若い女性が来て座りました。
その女性の顔を見ると、
色が白くてとても綺麗な素敵な女性でした。
そのときふと、
「歌手の藤圭子さんに似てるなぁ」
と思いましたがまさかと思い、
訪ねることもしませんでした。
すると、名前を聞かれたので名刺を渡すと、
何かの紙、マッチ箱?
(・o・) あ~、覚えてないなぁ、
とにかく何かの紙に名前と電話番号を書いてくれたような記憶がかすかに残っています。
名前を見たときには、
「ん? 藤圭子さんに似てるなぁ」
と思いましたが、
まさかそのような有名な人が隣にいるはずがないと思いました。
その日は、
仕事場の皆で飲みに行ってましたので、
あまり話す時間もなくわかれて帰りました。
その数日後、
仕事場へ電話が入り電話を取った事務員の女性から、
「安達さん、藤圭子さんに似た声の女性からお電話です」
と言われ受話器をとる(当時はまだ、携帯電話などありませんからね)と、
確かに圭子さんでした。
まさか本当に電話が来るとは思ってもいなかったので、
その場は仕事中ということもあり自宅の電話番号を伝えて切りました。
「まさか自宅には電話してこないだろう」
と思っていましたが数日後の夜、
自宅で家族といると、
一本の電話がかかり母が出ました。
「みつる、電話よーっ。藤圭子さんのような声の女の人から」
と言って受話器を僕に渡しました。
電話に出ると、
「すみません、今度こちらに来ていただけませんか」
ということでしたが、
「すみません、行けません」
とお断りしました。
その後は一度も電話はかかってきませんでした。
それから数年後、
東京へ出た僕は、
ある時ふと、
「藤圭子さん、歌手引退コンサート」
というような記事を雑誌で見かけると、
藤圭子さんの事務所へ電話し、
マネージャさんに事情を説明すると、
「今度が最後ですので、是非来てあげて下さい」
ということでした。
しかし僕は、
記事の中にあった「海外へ行く」という言葉から、
もしかしたら結婚する人と行くのではないかと思い、
結局最後のコンサートへは行きませんでした。
それから長年、
藤圭子さんのことは忘れようとしました。
しかし、
いまから12年ほど前だったかと思いますが、
ある男子中学生の家庭教師で訪問しているときのことでした。
授業が終わり男の子とお母さんと3人で話していると、
その時点けていたテレビで歌っていた若い女性歌手が目に入りました。
初めて見る歌手だったのでなんという歌手か訪ねると、
「名前は宇多田ヒカルという人で、藤圭子さんの娘さんですよ」
とお母さんが教えてくださり、
僕にはちとショーゲキが強すぎました。
また、
藤圭子さんが亡くなられたニュースをテレビで見たときは更に大きなショックでした。
ほんの3度しかお話し出来なかったのに、
これほど心に残る人は他にいません。
そしてもうひとつ気になるのが、
娘さんの名前です。
どなたが名前を考えられのでしょうね。
藤圭子さん、
今はどのようなところに住んでいらっしゃるでしょうか。
もしかしたら、
御家族を守るために降りてきているかもしれませんね。
今回は、
僕の思い出話ですみません。