中3の頃のある日、
母と叔父さんに連れられて日田市内のとある建物へ連れていかれました。
両開きの硝子戸を開けて広い玄関Nへ入ると、
目の前に受付の台があり、
右へ伸びたローカがありました。
受付で名前を書くと目の前には、
何十畳だったかは覚えてませんがとても広い畳の部屋があり、
奥の右端にはトイレの入り口が、そして左手を見ると、
中央に舞台がありその両側には硝子のドアがありました。
母は左側のドアを開け中へ入ると、
大きな机に座った体格のよい中年くらいの男性がいました。
何かを話しているようでしたが、
みつるは、広間に座って待っていました。
そしてやがて、
話を終えた母とその男性が部屋から出てくると、
母と叔父はみつるを一人残して帰っていきました。
何のためにここへ連れてこられたのか、
これから何が起こるのか、
全く分からず不安に駆られていると、
そこへ数名の若い男女が入ってきました。
皆で夕食を摂ると、
その日は広い部屋の隅に布団を敷いて寝ました。
翌朝早く目が覚めると皆も起きて布団を片付けました。
朝食を済ませ広間に座っていると、
大勢の学生や若者たちがやって来ました。
おそらく100名はいたかと思います。
皆が揃うと、
幾つかの班がつくられ、
みつるもその一つ加わり、
何やらお祈りみたいな、何かの儀式みたいなことがあったあとに、
其々荷物を持って外へ出ました。
何もかも分からないみつるは、
ただただ皆に着いていくだけです。
建物の裏の道路へ出ると、
2台の大型バスが停まっており、
其々に乗り込みました。
どこへ、何をしに行くのかも分からず、
全く知らない人たちと共にバスに揺られて、
着いたところは佐賀県庁の側の広い場所でした。
バスを降りると、
他にもいろんな地域から沢山のバスが集まってきて、
大勢の学生や若者たちがやって来ました。
全員が集まると整列し、
前には其々の地域のリーダーたちが並び、
その代表らしき人の説明がありました。
その時、
初めてみつるは皆が何のために集まったのかを知りました。
恥ずかしがりやで人見知りのみつるは、
知らない人たちの中で戸惑いながらも、
リーダーらしき人から軍手の手袋とビニールの袋を渡されました。
そうです、
この日に集まった目的は、
佐賀県庁周辺の美化運動の為でした。
これがみつるの、
生まれて初めて体験したボランティア活動でした。
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