ある朝みつるは、
「なんしよるとね。はよせんと、学校に遅れるやろ」
と、母に叱られ、
シブシブ家を出ました。
ランドセルを背負って山道を降りていくが、
その足取りは重い。
なんとか道路まで降りていくと、
既に皆は学校へ行っているので誰もいない道を、
一人で学校に向かって歩いていました。
しかし、
どうしても学校へ行く気になれないみつるは、
途中で道路から外れ、
山道へと入ると、
そのまま山へと向かって歩きました。
途中、自分の背丈より高い草などを掻き分けながら、
ひたすら歩き暗い杉林を抜けると、
杉の木を切り開いた明るい場所へ出ました。
更に登っていくと、
眺めのよい大きな石の上に寝っ転がり、
空を眺めながら瞑想に耽りました。
青空にゆっくりと流れていく白い雲を眺めがなら、
いろんな事を考えていると、
やがて昼を過ぎてしまいました。
今思えば、
これが初めての学校サボリだったのかな?
皆が学校から帰る頃を見計らって山を降りていくと、
誰もいない道を家へ向かって歩きました。
帰宅すると弟たちがいましたが、
夕方だったので学校から帰ったふりをしていました。
当時のみつるの家には、
電話は勿論、電気もありませんでしたので、
学校に行かなかったことは両親にもバレませんでした。
翌日学校へ行くと、
先生から、
「昨日はどうしたのかな? 体調が良くなかったんですね。はい、これは昨日の給食の分ですよ」
と言って渡されたのは、
前日の給食のコッペパンとキャラメルのようなバターに果物でした。
近くに同級生か、
もしくは他の生徒がいる場合は、
近くの生徒がその日の内に届けるのですが、
僕の家の近くには小学生は勿論、子どもなどいないので、
学校を休めば翌日学校で受け取るしかありませんでした。
その後も、
幾度となく、
学校サボリはありました。
その頃眺めていた風景が下の写真です。
近くに民家もなく、
見渡す限り山、山、山でしたので、
人を見かけることはほとんどありませんでした。