ランプ生活の小学生の頃のある日、
外は暗くなり、
帰りの遅い父を気にして時々外を見ていたみつるに、
山の方から灯りが降りてくるのが見えました。
「母ちゃん、父ちゃんが帰ってきたから迎えに行ってくる」
そう言って外へ駆け出すと、
灯りの方へ向かって坂道を登って行きました。
灯りの近くまで行くと、
「父ちゃん、父ちゃんやろ」
声かけても返事はありません。
耳が聞こえないので、
更に大きな声で、
「父ちゃん、お帰りなさい~」
それでも返事はありません。
灯りまであと少しというところで、
その灯りは突然、
フワフワと右側にある谷の方へ降りていきました。
しかも、
そこには藪があり、
人は行けないのに何の音もなく、
その灯りは漂い始めました。
その時初めて、
その灯りは人の持っている灯りでは無いことが分かりました。
でも、
このような灯りは、
何度か見ていたので気にもしませんでした。
父ではなかったので家へ戻り、
更に父の帰りを待っていると、
それから間も無くして父が帰ってきました。
灯りは、
前回に杉林で先輩のイタズラだと勘違いしたときと同じく、
蒼白い火の玉で、
風の無い暗闇をフワフワと飛んでいました。
火の玉には、
蒼白いのと真っ赤なのがあり、
小学生の頃に見たのは全て蒼白い火の玉でしたが、
高校生の頃に一度だけ真っ赤な火の玉が一直線に速いスピードで飛んでいくのを見たことがありました。
皆さんは、
このような火の玉を見たことがありますか?
蒼白い火の玉は、
近くで見ても面白いですね。