この話は昔、
塾の仕事やカウンセリングの仕事をしていた頃に起きた実録です。
忘れたくても忘れられない、
とてもショッキングで不思議な出来事でした。
それは、
僕が小学校1年生の時までいろんな事を教えてくれたり、
一緒に遊んだり、時には喧嘩もしましたが、当時6年生だった先輩女性の話です。
その先輩は小学校を卒業すると家族と共に何処かへ引っ越して行きました。
それ以来、
もう、その先輩には会えないだろうと思っていましたし、僕も先輩のことを忘れていました。
僕が 20代後半のある日、
当時は教材の訪問販売とカウンセリングをしておりました。
ところがある日、
教材販売で訪問したある家で、
その先輩のお母様に出会ったんです。
するとお母様から、
「娘は子どもを連れて帰ってきてるよ。多分今なら家にいると思うけど」
と言うので教えて頂いた近くの家を訪ねました。
すると先輩が出てきましたが、
面影はなく、すっかり変わった先輩がいました。
先輩は僕を見て驚いたようでしたが、
何故か僕との再会をあまり喜んでいないようだったのでその後は訪問しませんでした。
しかし、
この再会が本当に最後の再会になるとは、
このとき全く予想もしておりませんでした。
それから数年後のある日、
カウンセリングを終えて塾の仕事へ行く前にどこかで昼食をと思いスーパーで弁当を買いました。
どこで食べようかと場所を探していたのですが、
日田市の萩尾(はぎの)公園の近くで眺めのよい場所を見つけて車を止め、
「ここなら誰も来ないだろうし、ゆっくり食事できる」
そう思いながら、目の前の高速道路を走る車を眺めながら弁当を食べました。
そして数日後にまた、
同じ場所で弁当を食べようと向かっていると、
その直前の高速道路の高架下の三叉路に車が入れないよう黄色のテープが張られていました。
テープを見て警察が張ったものだと直ぐに分かりましたが、
何があったのか気になりながらもその場を離れ、
再び公園を通り市街地へと戻っていました。
ラジオを聴きながら運転していると、
ニュースが始まり、
突然先輩の名前が出たので聞き入っていると、
なんと、再会できて喜んでいたあの先輩が日田市の公園近くで殺害されているのが発見され、
犯人は逮捕されたということでした。
これだけだったら別に不思議ではないのですが、
先輩が遺体で発見された場所が、
なんと、僕が数日前に弁当を食べたあの付近だったのです。
しかも犯人の名前が(勿論、下の名前は違いますが)僕と同じだったんです。
その時、
もしかしたら僕があの場所で弁当を食べたのは、
その先輩が僕を呼んだのではないかと思うと何とも言えない複雑な気分になりました。
その後先輩の子どもたちは先輩のお母様が、
代わりにみていました。
子どもたちが小学校、中学校までは学校訪問の際に校長先生から、
「子どもたちは元気に頑張っていますよ」
と聞いて安心していました。
ところが、
それからどのくらい過ぎたことだろうか、
今度はその先輩のお母様が、
子どもたちの目の前で焼死したというニュースを聞きました。
その後は、この子どもたちを見かけることは出来ませんでしたが、
いまもどこかで元気に過ごしていることと信じています。
この先輩の事は、
忘れようとしても忘れられないまま今に至っております。
もしかしたら、
その子どもさんが、
この記事を見ているかもしれませんね。
もし子どもさんが見ていたら伝えたいですね、
「あなたたちのお母さんは、明るくて、元気な素敵な人でしたよ」
と。