僕が小学校1年生の頃、
6年生にYという女子の先輩がいました。
彼女とは家も近く、
喧嘩もしましたが、よく遊んでもくれました。
しかし、
僕が小学校2年生になる前に、
彼女の家族は何処かへ引っ越して、
それ以来長年会うことはありませんでした。
ところが、
僕が東京から帰郷して間もなくの事でした。
当時、書籍の訪問販売をしていたのですが、
日田市内外れのとあるお宅を訪問すると、
何とそこに、
あのY先輩がいました。
十数年ぶりの再会に、懐かしさと嬉しさが溢れてきました。
でも彼女は、
最初は懐かしい再会を喜んでくれましたが、
何故か僕を避けているようでした。
それが彼女との最後の出会いだったと思います。
それから数年が経ち、
僕は福岡の塾へ勤めることになりました。
天気の良いある日、
外で弁当を食べようと、
日田市内の少し外れにある公園から、
大鶴町へ抜ける途中の高速道路脇の道を登った、
眺めの良い所に車を止め、降りて座りこむと、
高速道路を走る車を眺めながら弁当を食べました。
ところがその数日後、
公園に車を止め、ラジオを聴いていると、
あのY先輩が殺害され、犯人が逮捕されたというニュースが流れました。
一瞬、何かの間違いかと思いましたが、
あまりのショックで、
しばらくの間動けませんでした。
ニュースでは、
Y先輩は殺されたあと死体を遺棄されたようでした。
その遺棄された場所が、
何も知らずに僕が、高速道路を眺めながら弁当を食べた、あの場所でした。
しかも、
殺人で逮捕された犯人の姓が何と僕と同じ?
その後、彼女の実家近くの友達に詳しい事を教えてもらいましたが、
あまりにもショッキングな事件だけに、しばらくその事が頭から離れませんでした。
今でも時々、Y先輩との楽しかった思い出が甦ります。