昔、日田市内のジャノメミシン日田市店に勤めていた頃の話です。

ある日の夜、

支店長と数名の男性社員で、

遠くの街へ飲みに行った時の事でした。

スナック?

店のことはほとんど覚えていませんが、

カウンターに座ってウイスキーを飲んでいると、

左隣の椅子に、

色白で長い髪の綺麗な女性が、

「ここ、宜しいですか?」

と言って座って来ました。

その頃僕は既に少し酔っていました。

その時何を話したのかほとんど覚えていません。

ただかすかに覚えているのは、

彼女が歌手の藤圭子さんに、

見た目も、声も、話し方もそっくりだったことです。

僕を見る目は、何故か寂しそうでした。

たしか、マッチか何かに電話番号を書いて、

「電話してくれますか?」

と、渡されたような気もするが、

その時僕の名刺を渡した事は覚えています。

それから数日後、

仕事場にいた時、電話がなり応対した女性事務員から、

「あだちさん、電話です。」

と言って更に小声で、

「歌手の藤圭子さんのような人からですよ?」

まさかそんな事はないだろうと思いながら電話に出ると、

「フジキ ケイコです。お仕事場に電話してすみません・・・」

え!?

大変驚きました。

と同時に、頭の中では花火が上がる、上がる。

おかげで何を話したか覚えていませんが、

自宅の電話番号を伝えた事は覚えていました。

更にその後自宅に居た或る夜、

電話が鳴り応対した母が、

「みつる、電話よ」

というのでそばに行くと、

「誰ね? なんか、藤圭子さんみたいな人だけど・・・」

電話に出ると、そうでした。

この時も嬉しさのあまり、話の内容は・・・(≧▽≦)

多分、会いに来てほしいと言われたが、

仕事などの都合で行けなかった。

その後しばらくして上京したある日、

書店で見かけた雑誌に、

「藤圭子さん、歌手を辞めて海外へ・・・」

と書かれた記事を発見。

翌日藤圭子さんの事務所へ電話したら、

男性の方が出て、

「ほぼ、週刊誌の通りです。今度のステージが最後になるので、是非来て下さい。彼女も喜ぶと思います」

と言われましたが、

何故かショックで行けませんでした。

藤圭子さんの性格や情況は、

数回お話し出来た時に分かっていたので、

もし、3~4年ほど前に会っていたらあのようにならずに済んだのかなと、

残念に思っています。

ここで改めて、故人 藤圭子さんの御冥福をお祈り申し上げます。



合掌