『孫子』は敵の分断を重要視します。九地篇「軍の統制」より引用します。(渡邉義浩訳)
「(ある人が)あえてお尋ねします、「敵が多く統制がとれていて(こちらに)来ようとしていたら、どう対処いたしましょう」と言った。それには、「まず(地の利のような)敵の頼りとするものを奪えば、(こちらの)思うとおりになるであろう。(その際に)軍の情況は迅速を旨とし、敵の準備が間に合わないことに乗じ、(敵の)予測しない方法により、敵の警戒していないところを攻めるのである」と言った。」
戦線は伸びきって敵は分断、先陣は疲労し、後陣に驕った状況が生まれる。信長の狙い通り。丸根砦の佐久間大学と鷲津砦の織田玄蕃、今川勢に突っ込んだ佐々隼人正と千秋四郎は囮。
「利して之を誘い、乱して之を取る」
「卑うして之を驕らしむ」
「善く戦う者は、其の勢や険にして、其の節は短し」(孫子)
これくらいの戦術は、兵法を不断に稽古していた信長にとっては造作もないことだったでしょうか。
「橋本一巴を師匠として鉄砲御稽古、平田三位を不断召し寄せられ、兵法御稽古」(信長公記)
そして、最後は死地。
「疾く戦えば則ち存し、疾く戦わざれば則ち滅ぶ者を、死地と為す。死地には則ち戦う」
「(兵が)死ぬ気になればどうして得られないものがあろうか。将士も力を尽くそう。兵はたいへんな(危機に)陥ると(戦意を集中させて)懼れなくなり、撤退するところがなければ(戦意は)確固たるものになり、(敵国に)深く侵入すれば(心は戦うことに)専一になり、(追い詰められ)やむを得なければ(死ぬ気で)戦うのである。このために、こうした兵は修練せずとも警戒し、(将が)要求せずとも(自らなすべきことを)理解し、統制せずとも(緊密に)親しみ、命令せずとも信従する。(怪しげな)まじないの言を禁じ、疑惑(の計略)を捨て去れば、死に至るまで心を動揺させない。」(孫子 九地篇 第十一)

孫子は戦略戦術書として2700年後の今、スティーブジョブズにまで読まれている。それは単なる戦争の勝ち方では無く、いかに戦わずして勝つかを説いている。令和の虎キャバクラ社長「稼いだ者勝ち、それが大人の通信簿」孫子を見た事も聞いた事もないのだろう。浅い考えだ