鯉のぼり | PEZVOLADOR

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むぎわら帽子の思い出を抱え込んだまま
大人になった人に読んでもらいたい、
終わらぬ夏の人生旅日記。


こどもの日の記憶は、親父が滑車を下ろして取り込んだ畳の上の鯉のぼり。夕暮れになると、春の空気をいっぱいに吸い込んだ巨鯉が縁側から放り込まれ、6畳間を覆い尽くす。待ってましたと飛び込んで包まれるあの鯉のぼりの温かさ。鱗の一枚一枚に吸い込んだ春の粒子のあの香り。