ブログはライブまで定期更新を休止してますが、

 

作家になって以来毎年恒例の、

新成人への祝辞メッセージでーす。成人の息子さんたちへどうぞー。

 

 

 




2023新成人の皆さん、成人おめでとうございます。

今日は『生存者バイアス』についてお話しします。



1943年、アメリカ軍は戦闘機をより強くするための改修工事を命じました。

戻って来た戦闘機には「共通して」撃たれている部分があったので、

その部分に鉄板を入れて厚くすれば、

「もっと強い戦闘機になる」と考えたのです。



ところが、一人の数学者が真っ向から反対します。

 


「撃たれた場所ではなく、撃たれていない場所を補強しよう」

と。



軍部は、凍り付きます。

「え?アホなのこいつ?」


 

そのアホの名は、

エイブラハム・ウォールド。

統計学者です。



軍部が見落としていた『バイアス(≒片寄り)』を見抜いた天才です。
 


実は統計学的に観ると、

①撃たれ(たけど)帰還した戦闘機

②撃たれてそのまま墜落した戦闘機

の2つのグループが存在し、

調査対象となるのは常にだけ。


調査の時点で既に『片寄り(バイアス)』が発生していたのです。
 


帰還した(成功した)戦闘機の、

撃たれた場所を補強しても意味がない。



むしろ、

「撃たれていない場所を撃たれたせい」で、

ここへ帰還していない多くの飛行機たちは、

墜落していたのです。




 

成人を迎えた皆さん。

2023年、

この現代社会には多くの「生存者バイアス」がかかっています。

それは「成功者SNSバイアス」と名を変えて。

 

僕たちが目に出来るのは、

SNSにしろTVにしろ雑誌にしろ、

「成功した人たちの声」だけなのです。

 

君もそうだと思うけど、

美味しいレストランに行った日のステーキをインスタにUPしても、

日常の「納豆ご飯」は出て来ません。


ブレイキングダウンでオラ付いている強者は目に入っても、

道端で倒れている老人にスポットは当たりません。

 

でも、

エイブラハム・ウォールドが気づいたように『本当に参考になる』のは、

「成功しなかった人たち」

「破れて行った者たち」


の方なのです。

 
 

ところが、

実はこれって本当に本当に難しい調査になります。


なぜなら、

「声なき声」を聴き、

「意見なき意見」を見いだす必要があるからです。



失敗は、

敗北は、

不成功は、

墜落した戦闘機は、

原理的に「調査」すら出来ない性質のものだからです。



え?

「しくじり先生」を観ればいい?


いやいやw

そのTVに出れている時点で、

もう成功者じゃんw


 

本当に破れた者、

本当に失敗した者、

本当に墜落して行った戦闘機(バラバラ)。
 
それらは、

【原理的に調査できないモノ】です。


アタのリマエで、
「グーグル検索」にも出て来ません。


どうやったって「調べることが出来ない」し、

「他者に漏れ伝わることなど絶対に無い」モノ。
 


北斗の拳か?ってくらい一子相伝、秘伝中の秘伝の、

成功の法則。
 

 
え?

じゃあ、どうすれば良いの?


その溝を埋めてくれるのが、
『体験』なのです。


 

エイブラハム・ウォールドは、

「撃たれていない場所」こそが、

墜落した戦闘機の弱点だと推測はしたものの、

その位置を正確に特定することはできないことを知っていました。



1つずつ、1つずつ潰していくしかない。

「まだ、撃たれていない場所」を。

「体験」によって。
 



新成人の皆さん。

君が、今日までに成功し、成し遂げた事には実はもう価値なんてありません。

そのトロフィーは捨てても良い(いや捨てないでも良いよw)。
 

君が今日までに「まだやったことが無い」こと、

今日までに「まだ行ったことが無い」場所、

「付き合ったことが無い」人、

「チャレンジしたことが無い」領域。


それらにこそ、

真の価値があります。



それら未体験ゾーンを、これからいっぱい『体験』できる可能性を秘めた人類であるからこそ、

若い君たちは最強なのです。



 
『体験』と『失敗できる可能性の数』以外で、

君たちが「おっさん」に勝てることは1つもありません。

知識でも財力でもマジ無理です。 

 

だからどうか、

この『体験』というツールを用いて、

1つずつ大胆に「失敗して」行ってほしい。
 



『成功者SNSバイアス』

本当の失敗は誰も教えてくれません。

 

自分以外は。

そして、「本当の失敗」だけが成功の秘訣です。


 

この祝辞を読んでくれたあなたが、

花束を甲板で手渡されているパイロットの演説ではなく、

声なき声を、

意見なき意見を、

道端で、今にも倒れそうな老人の様子に目を向けて。


その優しい心で想い測り、

推測し、分析し。

そして、

1つずつ未知の領域へ「失敗するために」進むことを切に願っています。
 

ー作家さとうみつろう

2023新成人へ寄せて
『花束を受け取るの、人生の最後でよくね?』

 

 

 

 

 

 

 

 

▼この記事を書いた人 Writer's Info

さとうみつろう

日本の作家・ミュージシャン。中3の長男コクトウ君と、小5の長女ザラメちゃん、4才になった次女ミリンちゃんの3児のパパ。石垣島で生まれ中学は大分県、大学は北海道。社会を変えるためには「1人1人の意識の変革」が必要だと痛感し、大手エネルギー企業から独立。本の執筆や楽曲の発表を本格化し、初の著書がシリーズ累計30万部のメガヒットを記録。10代の若者を中心に多くの支持を集める。ところ…

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