10年前のブログ記事より。


 


むかーし、中国に有名な占い師が居た。


 

その名を塞翁(さいおう)という。


 

あるトキ、塞翁が大事に育てていた馬のコクオウ号が逃げ出してしまった。

 

 

オーマイガッ!


この馬(コクオウ号)が居なければ、買い物にも行けなけりゃ、

 

役所の仕事もできない。

 


 

 

これは、さぞ、落ち込んでることだろうと、

 

ご近所のおばちゃんたちが、塞翁を慰めに行った。


 

 

 

おばちゃんA
「サイちゃん、元気だしなよ!

 

コクオウが逃げたことなんか忘れちまいな!

 

 

そりゃあ、あの馬は、かなり便利だっただろう。

 

だから、ジャスコに買い物に行くのも、明日からは大変だろう。可哀そうに。

 

 

でも、忘れちゃいな!

 

 

そりゃあ、コクオウ号は、かなりの名馬と評判だったから、

 

あの馬を売れば、1億円くらい手に入っただろうから、可哀そうだね。

 

でも、忘れちゃいな!」

 



 

励ましてんだか、余計に落ち込ませたいんだか、



 

よくわからないおばちゃんたちに、

 

塞翁は言った。

 

 



 

「どうしてこの一件が、幸福に繋がっていないなどと言い切れるだろうか?」






 


おばちゃんB
「ガビーン!」



 

他人の不幸を笑いに来たおばちゃんたちは、

 

不幸すぎる彼がただのヤセ我慢のために言ってるんだ、ああそうだ。

 

と言って、帰っていた。




 

 

すると、どうでしょう!!!


 




 

次の日、逃げ出したコクオウ号は、

 

そのモテモテのルックスのおかげで、

 

逃げ出して居る間に、10頭のメスのサラブレッド馬を引き連れて、

 

塞翁のところに帰って来たのだ。




 


サラブレッド1頭当たり、売れば3,000万円!


 

単純計算で、コクオウ号は3億円を塞翁に持ち帰ったのだ!


 


 

これを聞きつけたおばちゃんたちは、

 

塞翁をお祝いをするために駆けつけた。



 


おばちゃんC
「サイちゃん!

 

三億円手に入れたんだって?

 

おめでとう!!

 

 

凄いじゃないかい!!

 

 

 

いやぁ、私にも、おこぼれが欲しいもんだね~。

 

長男が最近フリーターになった、この私にもさぁ~。

 

 

いや、全然、気にしないで良いんだよ!

 

 

とにかく、おめでとう!!」

 


 

お祝いしたいんだか、奪い取りたいんだか、

 

よくわからないおばちゃんたちに、

 

塞翁はこう言った。

 

 

「どうしてこの一件が、不幸に繋がっていないなどと言い切れるだろうか?」

 


 


 

おばちゃんD
「ガビーン!

 

あいつ、この3億円の幸せを独り占めしたいから、

 

予防線を張るために、あんなこと言ってんだわ!」

 


 

おばちゃんたちは、幸福すぎる塞翁は、ただのケチンボだ!そうだそうだ!

 

と言いながら帰って行った。


 


 

すると、どうでしょう!!!


 


 


コクオウ号が連れて帰って来た、メス馬に乗って遊んでいた、

 

塞翁の息子、チョウビンが、メス馬から落馬して、骨折してしまったのだ!!




 

おばちゃんたちは、すぐに駆けつけた!!




 

 

おばちゃんE
「サーイちゃん!!

 

チョウビン、骨折したんだって?

 

ププッ。可哀そうに!!


 

本当に、不幸だね~。


 

いや、笑ってなんかいないよ!なんだい!



 

本当に、不幸だね~、あぁ、かわいそうに。

 

 

働き盛りの息子が、骨折して使い物にならない・・・。

 

これを可哀そうと言わずに、どうすればいいんだい、サイちゃん!

 

 

だけど、元気だしなよ!」

 


 


終始、笑い顔のおばちゃんたちに、塞翁はこう言った。

 

 

 

「どうしてこの一件が、幸福に繋がっていないなどと言い切れるだろうか?」

 


 

 

おばちゃんF
「プププ。

 

あいつ、また強がっちゃって。

 

息子が、骨折したんだよ?不幸以外に未来は見えないよ。プププ。」



 

 

 

するとどうでしょうアゲイン!!

 






 

中国がレアアースの輸出制限を解除しないことに怒り狂った、

 

ブッシュ・アメリカ大統領が、中国に宣戦布告!!



 

中国とアメリカが戦争になっちゃった!!!


 

中国の若者は、全員、兵隊に駆り出された!!

 

働き盛りの若者たちは、全員、戦争に連れて行かれたのだ!!



 

しかーし!塞翁の息子、チョウビンだけは戦争に行かずに済んだ。



 

なぜなら、骨折してたから!!

 

このトキ、このタイミングで、たまたま、骨折してたから!!

 


 

戦争に行った若者は、だいたい死んだ。

 



 

身体は超健康で、お家にいつも居た、あのフリーターの息子、

 

おばちゃんCの息子も、死んでしまった。


 


 


息子の墓の前で、絶望に暮れ、号泣していたおばちゃんCの肩を叩いて、

 

塞翁は、こう言った。



 

「どうしてこの一件が、幸福に繋がっていないなどと言い切れるだろうか?」

 

 


心から優しく微笑む塞翁の胸で、おばちゃんCはおいおい泣いた。





 

THE END

 

 




 

っていう、モノガタリが、塞翁が馬。


 

教科書あたりでは、

 

「塞翁が馬」というコトワザの意味を、

 

 

不幸だからと言ってあきらめるな、幸せも来るさ、


 

幸せだからと言って気を抜くな、不幸も来るぞ!

 

 

と解説する。


 

 


しかーし!!


 

サイちゃん本当に伝えたかったことは、そんなことじゃない。

 


 

仏教徒だったサイちゃんは、「縁起」の話しをしていたのです。


莫大な数の小さな小さな『』が幾重にも重なって、

 

目の前の事象を、『こして』いるに過ぎない!って。

 



 

 

馬が逃げたという縁を、その時点で「不幸」と決めたおばちゃんA。



 

しかし、もっとたくさんの馬を連れて帰って来た日にわかったことは、

 

馬が逃げたという縁は、馬をたくさん連れてきてくれるための、

 

ただの「縁」でしかなかったということ。

 


 

だから、塞翁は、こう言ったんです。


 

「どうしてこの一件が、幸福に繋がっていないなどと言い切れるだろうか?」

 


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今はまだ分からないけど♪

目の前の出来事は♪

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ということで、三匹の小鳥のMVを作ってくれたので、

ご覧くだされ。

 

 

 

 

 

 


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▼この記事を書いた人 Writer's Info

さとうみつろう

日本の作家・ミュージシャン。中3の長男コクトウ君と、小5の長女ザラメちゃん、3才になった次女ミリンちゃんの3児のパパ。石垣島で生まれ中学は大分県、大学は北海道。社会を変えるためには「1人1人の意識の変革」が必要だと痛感し、大手エネルギー企業から独立。本の執筆や楽曲の発表を本格化し、初の著書がシリーズ累計30万部のメガヒットを記録。10代の若者を中心に多くの支持を集める。ところ…

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