草刈り機の刃って強靭で、

草の間に石ころがあっても「かきーん」と砕きます。


先日も開墾していたら、

「かっきーん!」とか鳴るので、


あっちゃんカッコイイ!
武勇伝武勇伝♪武勇でんでんででんでん♪


 

とか一人でふざけて歌ってて。

でも「かっきーん!」の音が金属っぽい


これまでも開墾中に鉄パイプとか金属がたまーに落ちていて、

それに刃が当たると火花が出ちゃうので、

いったん草刈り機のスイッチを切って、

手で地面をモソモソ確認する。


すると。

出てきたのは、不発弾



全身から一気に血の気が引く。

経験豊富な人生なもんで、これまでに何度も「死にかけた」経験はあるけど、

死んだのは初めて


これは、シャレにならん。

「かっきーん」とか鳴ったし。良かった、火花が出なくて。

武勇伝♪とか歌ってる場合じゃない。


自分の目の前に、いま手りゅう弾・・・。

いちお~沖縄人なので小学校で習ったかすかな記憶。

「不発弾が出て来たら、絶対に触ってはイケナイ」
「とにかく大人を呼ぶ」
「動かしちゃダメ」



うん。

分かってる。

分かってるんだけど、なぜか触っちゃうのが人間。


お、重い。

手りゅう弾って、めっちゃ重い

そりゃそうだ、命の重さなのだから。

落としたら俺の命が無くなる。


次に、なぜか安全な場所に「移動させなきゃ!」と思い込んでしまう。


持った「手」を身体から遠い場所に離して(無意味)、

ガケを登る。


結構な斜面なので、ズルっと滑っておっとっと。

精神は「無」。


色んなことを考える。

なんで、おれ、手りゅう弾を持っちゃったんだろう。

ラグビーしてた中学の頃、あのボールが手元に来たら皆がタックルしに集まって来るので、

持ちたくない代表の円錐形ボールだったけど、

それ以上に持ちたくない

でも、持っている。

なんで、持ってしまった?

爆発したらどうしよう。


誰かにパスしたい。

バックスとか、フルバックとかにスクリューパスしたい。

トライだけは、したくない!


トライした瞬間に、きっと何かが「カチ」って言う。

そして、その音が人生で最後に聞くメロディだ・・・。


詩人ぶってる場合じゃない!

ラグビー部の斎藤先生が、

「おい貴様ら!ボールは絶対に両手で持てよ!

片手だったら、タックルされた時に落としてしまうだろうが!

命よりも大事なものを持ってると自覚しろ!!!」


うん、斎藤先生。

やっと、分かったよ。

40才になって、やっと分かることもあるんだね。

「落とした時が、死ぬ時だと思え!」

うん、その通りだよ先生・・・。


中学時代の鬼のラグビー猛特訓の成果なのか、

どうにか崖の上までよじ登れたので、

大きな木の根元に隠すように「そっと」置く。


ちなみにこの「そっと」は、

自分史上最強の「そっと」で。

これまでの人生で一番優しくなれた瞬間(笑)だった。



で、その日は心臓バクバクのまま帰宅。

そして翌日に、また畑へ。

すると、「ここじゃ危険だ!動かさなきゃ」となぜかまた思い込む人間力。


またもや「そっと」持ち上げて、敷地の外へ出して「そっと」置く。

もう言う必要は無いと思うけど、

人生で2番目3番目に優しくなれた瞬間だった。


で、ブロックで囲んで(無意味2)、

警察に110。

 

 

 


「緊急ですか?」って言うので、

「はい緊急です!畑から手りゅう弾出ました!」って伝えたら、

どうも先方にとっては緊急じゃなかったようで、

約1時間近く待たされて警察官2人到着。

その後、陸上自衛隊の不発弾処理部隊へ応援要請。

 

 

 

陸上自衛隊の人が、

「宝くじを買った方が良いですよ」と。

「え?」と言うと、


「この手りゅう弾が爆発しなかったのは、上部の「作動部分」がなぜか付いてなかったからです。

普通は上部も付いているので、そこが取れると爆発します。

でもコレは、なぜか付いていなかった。

たぶんあなたはめちゃくちゃツイテいると思いますので、宝くじを買った方が良いです。」


サーっと血の気が引いたよね。




 

「ちなみに、殺傷能力は半径10mなので、

その草刈り機はせいぜい1~2mですよね?

あたった瞬間に死んでいます。」と。


10m以内の人を確実に殺す武器。

「身体から出来る限り遠くに離して持った」なんて無意味。



実際に手に持って思った事。

人を殺すためだけに作られた「道具」が世界にある不思議。

これは文字では伝わらないはずだけど、

持った瞬間の実感として、本当に不思議に思えた。


この「道具」は、この「発明」は、そしてこの「製造過程」や「関わった人」も、

全て、「人を殺すためだけに道具を作った」のだ。

包丁なら、野菜も切れる。

でも、手りゅう弾は「人を殺す」以外の用途は無い。

それだけのために、作られた「道具」。


他にも色んなことを考えた。

これを投げたアメリカ兵は、どういう気持ちだったのだろう?


ここに落ちていたからには、投げた兵隊さんが居る

その人はいったいどんな状況で、

どんな心境で(追われてたのか、ギリギリだったのか、追ってたのか、とにかく投げたのか)、

どんな物語りが、そこにあったのだろうか。




ちなみに手りゅう弾は、↑日本製とアメリカ製があり、

発見されたのはアメリカ製。

アメリカ製のやつは、「パイナップル」に似ている形。



もしも、日本軍の手りゅう弾だったなら住民に配られたモノだから、まだゴロゴロ置いてあるかも。


日本軍は住民に「アメリカに捕まったら恐ろしい目に遭うから、捕まる前に自決しなさい!」と手りゅう弾を配っていた。

今回のはアメリカ製なので、米兵が投げたやつ。

丘の下から投げたのか、上から投げたのか。

自衛隊によると、

「ここは見晴らしが効く場所。

この地点を制圧したら、周囲の全てが攻撃範囲になるので、きっと激しい攻防があったのでしょう」

と。




沖縄戦では10,000トンの不発弾が発生し、

まだ回収されていないのは、2,000トン

トンだよ、kgじゃなくて。

この手りゅう弾は「約1kg」だったので、

手りゅう弾に換算すると200万個埋まっている事になる。




不発弾である限り、絶対に「誰かが投げている」訳だから、

投げた人のその時の状況や戦況、その人の人生、投げた時の物語り。




今もまだ埋まっている200万個に、

必ず「1つ1つの悲しいストーリーがある」という事を感じて、

過去を生きた先人たちにこうべが垂れる。



まぁ、その中の1発に、光を当てられたことだけは良かった。



畑活の皆さんも、しゅりゅうだんには気をつけてね(沖縄県外では滅多に無いとは思うけど)。


畑が余っている人×畑を借りたい人
を繋げる「畑活」サイトを
作ってくれました
⇒昨日の記事

 
 
 


↓宝くじを買った方が良いですよって、真剣な顔で言われました。

「爆発しなかったのは、奇跡です」と。

沖縄では今も、年間に700発の不発弾が出るそうです。

激戦地の南部では、「もう警察に連絡するのもめんどくさいから、庭に置いてあるさぁ~」ってハルサーも居るくらいにゴロゴロ出てくる。



色んなことを考えたけど、やっぱり1番最初に思ったのは、

「生きているって奇跡」ということ。

1mm単位の偶然が積み重なって、どうにか「かろうじて」生きているのが僕らの実情だと思う。

まぁ、今日のお話しはあまり伝わらないかもしれませんが、

作家なので、とりあえず文章化してみました。

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▼この記事を書いた人 Writer's Info

さとうみつろう

日本の作家・ミュージシャン。小学校6年生の長男コクトウ君と、2年生の長女ザラメちゃん、最近1才になった次女ミリンちゃんの3児のパパ。石垣島で生まれ中学は大分県、大学は北海道。社会を変えるためには「1人1人の意識の変革」が必要だと痛感し、大手エネルギー企業から独立。本の執筆や楽曲の発表を本格化し、初の著書がシリーズ累計30万部のメガヒットを記録。10代の若者を中心に多くの支持を集める。ところ…

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