メガタウン、トウキョーは刺激的だ。
人も物もあふれているから、すべてアートになりそうだ。
ありすぎて、どこを切り取っていいかわからないほど刺激に満ちている。
いつも所用でトウキョーを歩くと、デジタル一眼レフカメラを持っていないことが悔やまれる。
プライベートなら持って来るべきなのだが、所用を済ますために持って来れない。
ふと、信号待ちで空を見上げたら月が出ていた。
過ぎ行く人も立ち止まっている人も、誰ひとり空を見上げていない。
月から少し離れてビルが天高くそびえ立っていた。
小さなアイディアが浮かんで、ぼくはビルのほうに向かって歩き始めた。
信号を渡ったら、ビルが視界から見えなくなってしまった。
それでも、ずんずんと歩く。
やがて、のっぽビルの横に月が現れる。
かばんの中からコンパクトデジカメを取り出して、月を撮影した。
「ちょっとコワイ～」
仕事を終えてビルから出てきたＯＬの集団が通り過ぎていく。
スーツ姿で空に向かってデジカメを向けていることが、なぜコワイのか。
都会の月は美しい。