東京の西の外れに奥多摩がある。
何度も出かけているけれども、ひさしぶりに車で行ってみた。
バイクならあっという間にダムのほとりに着いてしまった記憶がある。
しかし、平日で道もガラガラにもかかわらず車、それも軽自動車だと
なんと時間のかかることか。
それでも、木々の緑の多さに圧倒されながら車を運転した。
深い渓谷に沿って道がうねうねと続く。
たまに遥か下のほうに川が見える。
そういえば、一度も川のそばに降り立ったことがない。
観光用の遊歩道などないから、ただただバイクや車で川に沿った道を走るだけとなる。
どうやったら深い谷間の川へ降りることが出来るんだろう?
渓流釣りらしき車が路肩に停っていることがある。
でも、彼らが降りているはずの道らしい道を目にしたことがない。
注意深く車を運転しながら川の上流へとさかのぼった。
どうせならダム湖の下流よりも上流の方がいい。
しかし、ダム湖の水位は低く、上流の川の水もかなり少ない。
奥多摩から更に上流まで来て、とうとう山梨県まで来てしまった。
山深さはいっそう深くなり小さな集落を過ぎて緑が濃い山と舗装された道だけとなってしまった。
それでも道の遥か下には川が流れている。
どこにも川へと続く道もなく、あきらめUターンした。
ある小さな橋を渡ったとき、偶然にも人がひとり通れるほどの踏み後がついた道らしきものが目に付いた。
もしかしたら?
いや見間違いかもしれない。
屋久島で磯釣りをしたときにまさかと思うようなところに釣り人が何度も歩いて出来た道があった。
それに似ていたから、適当な駐車スペースを見つけて車を停めて、半信半疑に歩いて近づいてみた。
やっぱり!
しかりした踏み後があって登山道のように道になっている。
でも、登山道と違って斜面の上に向っていない。
川のほうへと向っている。
途中から枯れ沢に積もった枯葉を踏みしめながら下りなければならない。
それでも屋久島の磯釣りで経験した崖を下り比べたら、楽勝。
しかも注意深く歩いて1、2分で河原に出てしまった。
なんとも気持ちがいい場所で、見上げれば、青空。
渓谷の美しさもいい。
しばらく、大きな石に座って、川のせせらぎに耳を傾けた。

