雨が降っているのに、蝉が鳴いている。
激しい雨音もかき消すほど大きな声で鳴いている。
「蝉って、すごいね」
「うん。すごいね」
「雨の日ぐらいじっとしていればいいのに」
「そうもいかないさ」
「なんで?」
「命がけだもん」
「命がけ?」
「地上に出てから一週間から十日ぐらいだろ。生きているの。
その間にパートナー見つけて、子孫残して、死んじゃうから。
明日も生きているって保証ないもんなぁ」
「そうかぁ。精一杯、生きているんだね」
蝉が地上に出ることを人間の世界にたとえるならば、社会に出るってことかもしれない。
社会に出れば、風の強い日も、風が穏やかな日も、雨の日も、晴れの日も、暑い日も、寒い日もある。
と書いて自分を慰める。