沢木耕太郎の文章は不思議だ。ノンフィクションでありながら、小説のような印象を受ける。それは事実でありながら物語りを感じるからかもしれない。
休日にぶらりと図書館に寄った。雑誌コーナーで『百の谷、雪の嶺(四三○枚)沢木耕太郎』という活字が目に入った。文芸雑誌の新潮8月号だった。雑誌を手に取り、ぱらぱらとページをめくった。沢木耕太郎は好きな作家ではあるけれども、作品によっては読み進められないこともある。沢木耕太郎作品に限らず、他の作家にもいえることで、ぼくの嗜好に左右されるといったほうがいい。どうやらクライマーのことが書かれているようだ。作者の沢木耕太郎の「目」で書かれているが、主人公の「山野井」というクライマーの「心情」「行動」が書きつられている。それは「私」でもなく「彼」の話でもなく、不思議な感覚が呼び起こしてくる。ぼくは本格的に読もうと深々とソファーに座って読み始めた。読み始めたら、もう止まらない。冷房が効きすぎて寒くなってきたら、自販機で缶コーヒーを買って図書館の中庭に雑誌を持ち込んで心地よい風に吹かれながら読みふけった。まったく海外の山にもクライミングにも興味はなくても、なぜか続きを読みたくなる。
こうして午後の大半を図書館で過ごしたが、やっと半分ほど読み終えた頃、図書館の閉館の時間になってしまった。続きはまたの休日に読むことになるだろう。
新潮社のサイト
http://www.shinchosha.co.jp/shincho/200508/sawaki.html
山野井さんについて
http://www.evernew.co.jp/outdoor/yasushi/yasushi1.htm