▼某月某日
その日、母と叔母の運転手兼荷物運び係として大型ホームセンターに行ったときのことです。
せっかくの休みになのに、いやになっちゃうよ、まったくぅと思いながら、ガーデニング用の土や肥料を車に詰め込んだ。
母と叔母が再び売り場に戻ったが、ぼくはひとり車の中で待つことにした。
うす曇の気温が高い日で窓を開けると、心地よい風が車内を抜けていく。
びっしり詰まった駐車場を眺めていると、背の高いベンジャミンを荷台に乗せて男性がひとりやってきた。
グレーのポロシャツにチノパン、髪は短く、メガネをかけて、髭を生やしている。
きっちりとし服装に清潔感があふれ、高所得者に思える。
職業は医者か大学教授といったところか。
ぼくが停めている車の正面に真新しい白いパジェロが駐車されていた。
その人は、そのパジェロのところまで荷台を押していき、助手席側のドアを開けた。
ずいぶん大きな樹だけれども、入るのかな?と見ていたら、すんなり車内に収まってしまった。
ぼくは、ほかにやることもないので目の前の光景を漠然と眺め続けた。
その人は空になった荷台を車の前まで押していき、一瞬立ち止まった。
何を考えているのか荷台を車の後方へ押し戻し、パジェロとその横の車の間に置いたまま運転席へと回り込んだ。
おい、おい、まさか・・・。
その人はドアを開け、車を発進させて、駐車場を出て行ってしまった。
あとには、ぽつんと置かれた荷台が空しく残っていた。
さて、残された荷台の行方は・・・。
次に駐車する方にとって非常に迷惑な感じがする。
休日とあって、1分と経たないうちに車がやってきた。
きっと荷台が見えないのだろう。
何も知らずにバックをはじめて、途中で停まった。
車から男性が降りてきて、なんだよという顔つきで荷台を駐車場から出そうと押し始めたが、一瞬立ち止まり、駐車場の奥へと戻し始めた。
どうするのだろう?
見ていたら、駐車場後ろにちょっとした芝生が植え込まれており、そこへ押し上げて荷台を置いてしまった。
きっと駐車場が空く閉店近くになって係りの人が片付けるまで、荷台はそこに残されたままだろう。