▼某月某日
疲労が溜まってくると、時間がゆっくり流れるようです。
いつもの時間に起きて、いつものように過ごしていたら、いつもの出かける時間となっていた。
慌ててバイクのエンジンをかけて仕事へ向った。
いつものように途中で昼食用の弁当を買うため、コンビニエンス・ストアに寄った。
店から出て、駐車場に停められていたワンボックス・カーの大きな窓ガラスに自分の姿が映っている。
とても冴えない顔。
ものすごく疲れたような顔をしている。
これでは仕事にならないな、と思いながら自分のバイクへと歩み寄った。
単気筒のバイクの音がしたので、ちらっと音がするバイクのほうへ顔を向けたが、見ているようで見てなかったのだろう。
ワンボックス・カーの物陰から若い女の子が駆けて来て
「XXXの人ですよねぇ?」
と声をかけられた。
名前は忘れたが、見覚えがある顔。
彼女はヘルメットとシールドを買ってくれたお客さんで、色々相談を受けながら購入をしてもらったので顔を覚えていた。
「これから出勤ですかぁ?」
「ええ、休みもなくて、仕事です」
「こんなバイク乗っているんですかぁ。あっ、こんなところにイリオモテヤマネコのステッカーが張ってある!」
冴えない顔で、ボロボロのバイクを見られて、けっこう恥ずかしい。
おまけに焚き火の匂いと埃の匂いと汗の匂いが染み込んだジャケットを着ていた。
足元はスリップオン・スニーカー。これもボロっちい。
よりによって今日はイエローコーンのジャケットでも、カドヤの革ジャン、ショート・ブーツでもない。
んー、旅先でもそうなのだが、小汚い格好のほうがなぜか声をかけられやすい。
なぜ?と思いながら
「このバイクで北は北海道から南は沖縄まで行ったんで・・・。
そういえば、ヘルメットは、どうですか?」
「すごく、いいですよぉ。がんばってください。また、遊びに行きますから」
遊びに?また買いに来てね、と言わずに、じゃあと別れた。
ということで、どこで誰に見られているやら・・・
コンビニエンス・ストアで18歳未満の雑誌の立ち読みは、決して出来ません。