▼某月某日
全国津々浦々の温泉に入ってきたが、意外と地元埼玉の温泉に入ってない。
昔からある温泉に目がいって、最近の温泉ブームで村おこし、町おこしの目玉に温泉を作っているので、把握できないことも原因の1つである。
あれー?こんなところに温泉があったのかとみつけた温泉を紹介しよう。
その日は東京都民の飲み水の源泉がある奥多摩の林道をバイクで駆け巡っていた。
お昼に手打ち蕎麦をすすり、林道を一本走り、その後、ひと山越えて名栗村(なぐりむら)に出た。
ここは昔から東京や埼玉から川遊び、バーベキューにやってくるにはほどよいところで土日ともなると多くの人々が訪れてくる。村を貫くように名栗川が流れている。この川は途中で入間川と名を変え、荒川に合流し最終的には東京湾へ辿り着く。川の上流には有間ダムがある。子供の頃、名栗川に行くと川をせき止めてプールのようにして川遊びをしたものだが、数10年前に川に行ってみると水の量が極端に減って懐かしい川をせき止めたプールが跡形もなくなっていてちょっとさびしい感じを受けたものだ。たぶん、ダムが出来て川の水量が減ってしまったのかもしれない。
この名栗村に貴重とも言える21キロほどの未舗装林道が残っている。
その林道を走り辿り着いた温泉。
もちろん舗装路からも温泉には行けるが・・・
元々名栗村には名栗ラジウムという鉱泉が知られていたが、それとは別に村営の温泉が出来ていた。
料金はなんと800円!
関東の公共日帰り温泉は500円から600円ほどだが、800円なのである。
値段が値段なので、どんな温泉か期待を膨らませてくれる。
入浴時間は18時まで。
16時に着いたので2時間しか入れない。
それでもしっかりと800円を取られる律儀さ。
よっほどのサービスと自慢の湯船なんでしょうか。
受付を済ませ、広いロビーを抜け、階段を降りると広い畳敷きの休憩所がありました。しかし、目指せは湯船です。
脱衣所は程よい広さでコインが戻ってくるロッカーも完備で貴重品も安心。
面倒くさがり屋のあなたには脱衣カゴが並んだ棚もございます。
脱衣所から湯船に続くガラス戸を開けると唖然。
洗い場は満席。
湯船の壁際も満席。
掛け湯をしていると、ちょうどひとり湯船から上がられたので、すかさず身を細めて湯船に浸かりました。
透明な湯で浸かりゴコチの温度は上々。
ちなみに湯の種類は微白濁弱硫化水素臭とパンフレットに書かれておりますが、ピンと来ません。
あまりの人の多さにのんびり湯に浸かる感覚がありません。
第3駐車場まで車がびっしりだったので混んでいるとは予想しておりましたが、これほどの混雑ぶりとは思ってもみませんでした。
洗い場はいっこうに空く気配もなく、窓の外を見るとベランダがあり露天風呂もあるようです。
外に出てみて茫然・・・・・
確かに露天風呂です。
屋根もなく、外に湯船があるのですから。
それがなんと大人が3人も入ればビザ頭が当たるほど小さな円形の白いプラスチック製の湯船が埋めこまれているのです。
これがジャグジーだったら洋画で金持ちが自宅で風呂に浸かっているシーンそのものではないですか。
スポーツジムのジャグジーの方がよっぽど大きいでしょう。
はじめに私と友人とふたりで浸かっていたら大人の方がひとり入って来ました。
我々は少しずれて等間隔に座ると膝の前にきれいに正三角形の空間が出来ました。
もう来れ以上は入れないよなぁと思っていたら・・・
親子連れがふた組ガラス戸を開けて乱入。
いやお越しになりました。
もうすぐ上がるから待っててね、と心の中で叫んだまもなくお子様がふたりとも湯船に入ってくるではないですか。
お父様方は子どもぐらい入れるだろうと涼しいお顔をなさっております。
はしゃぐお子様。
我々は腰をずらすしかありません。
連れといえども野郎の太ももがぴたりとくっつくのは心地よいものではございません。
そりゃ、若いお姉ちゃんなら話は別ですがね。
湯から上がって洗い場に行くと、ちょうど1つ空いておりました。
椅子はあるが洗面器がない。
洗い場の隅に洗面器が積まれています。
視線を戻すと、正面からおっさんがひとり空いている洗い場めがけて歩いてきました。
反射的に洗い場を狙っているとピンと来ました。
洗面器を先に取るか、まず洗い場の椅子に座るか、一瞬の躊躇。
どんどん歩いてきます。
この場合、ここはおれの場所だー!とアピールするにはどうしたらいいものか。
洗面器を取りに後退し、洗面器に手をのばそうとした瞬間におっさんに席を取られてしまいました。
仕方なく内風呂に浸かることにいたしました。
待っているほど洗い場はなかなか空かないもんです。
やっと洗い場が空き、さっぱり洗い終えて回りを見渡すといくつも洗い場が空いておりました。
そんなものです。
湯から上がって畳みでゴロゴロ。
そうそう畳みの休憩所に入るときにスリッパがびっしりきれいに並んでおりました。
さぞかしマナーがいいお客様が大勢なのでしょうと思いきや、何のことはない。
係のおばちゃんが2、3人入口でおしゃべりしながらたむろしており、お客さんがスリッパを脱いだらきれいに並べ直しているのだった。
この温泉がなぜ人気なのかいまだにわかりません。