週足チャートで振り返る【8月31日週の相場まとめ】 | 三井智映子オフィシャルブログ「ちえこのなかみ」 powered by アメブロ

週足チャートで振り返る【8月31日週の相場まとめ】

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8月31日週の相場を振り返りましょう。


先週の米市場はまちまちでした。

週足で

ダウ平均は5万3,559.99ドルから5万3,414.25ドルへ下落して約0.27%安。

S&P500は約0.09%高。

NASDAQは約0.40%高となりました。







米国株市場では、週初から中東情勢の悪化が重荷となりました。米国とイランの軍事的な緊張が再び高まり、原油価格が上昇。

エネルギー価格の上昇がインフレを再加速させるとの警戒から、米国債利回りも上昇し、PERの高いハイテク株を中心に売られる場面がありました。

ただ、週半ばには米長期金利がいったん低下し、AI・半導体関連を中心に買い戻しが入りました。

そして週末の最大の材料となったのが、9月4日に発表された8月の米雇用統計です。

非農業部門雇用者数は前月比16万2,000人増と、市場予想の5万6,000人増を大幅に上回りました。(前月分も上方修正。)強い雇用統計を受け、9月FOMCでの0.25%利上げ確率は一時6割程度まで上昇。米2年債利回りは4.37%、10年債利回りも4.78%まで上昇しました。

通常であれば強い雇用は景気や企業業績にとってプラス材料です。ただ、現在はインフレ率がFRBの2%目標を上回っているため、景気が強いことがそのまま株高材料になるとは限りません。

景気や雇用が強いほどFRBが高金利を維持しやすくなり、場合によっては追加利上げにつながります。

つまり現在の米国株は、「企業業績の強さ」と「金利上昇によるバリュエーション低下」という2つの力を同時に見なければならない局面です。


また単純な「金利上昇=ハイテク株売り」ではなくなっています。AIや半導体など、金利上昇によるPER低下圧力を上回る利益成長が期待できる企業には資金が残っています。一方で、成長性が十分でない高PER銘柄には厳しい環境です。今後の米国株は、「AI関連だから買われる」というフェーズから、売上高成長率、利益成長率、フリーキャッシュフロー、設備投資負担、価格決定力などを見ながら、金利上昇に耐えられる企業を選別する相場がさらに強まると考えています。







日経平均株価は週足では1,384円62銭安、2.09%の下落となりました。TOPIXも週間1.05%安となっています。

週初は、ジャクソンホール会議でのウォーシュFRB議長のタカ派的な発言を受けた米利上げ観測や米長期金利上昇を背景に、AI・半導体関連株を中心に売りが先行しました。

さらに中東情勢の緊迫化で原油価格が上昇すると、インフレ再加速への警戒から世界的に長期金利が上昇。9月2日の日経平均は1,889円安と急落し、東証プライム市場では9割を超える銘柄が下落しました。

一方、9月3日は日経平均こそ小幅安でしたが、TOPIXは上昇しました。

週末の4日は、米金利低下や米ハイテク株高を受け、日経平均は806円高と5営業日ぶりに反発しましたが、それでも週間の下落幅を埋めることはできませんでした。


日本株について、株価指数以上に注目しているのが国内金利です。日本の長期金利が上昇し、これまでの超低金利を前提とした資金配分に変化が起きています。

国内債券でも一定の利回りを得られるようになると、日本の機関投資家が為替リスクを取って海外債券を保有する必要性は低下します。

国内投資家が海外債券を売却して円に戻す場合、「海外資産売り+円買い」が発生するため、日本の金利上昇は単に銀行株にプラスという話だけではなく、世界の債券需給や為替市場にも影響する可能性があります。

これまで長期間続いてきた日本は低金利なので海外へ資金を出すという構造が、少しずつ逆回転し始めている可能性があります。




為替市場では、ドル円が週初の160円前後から一時155円台まで下落し、急速な円高・ドル安が進みました。

日銀の追加利上げ観測が大きな要因の一つです。

日銀審議委員から金融正常化に前向きな発言が相次ぎ、9月の日銀金融政策決定会合での追加利上げが意識されました。

さらに日本の長期金利上昇を受け、海外資産から国内へ資金を戻すリパトリエーションや、低金利の円で調達した資金を海外資産へ投資する円キャリートレードの巻き戻しも、円買い要因として意識されています。

米雇用統計が強かったため週末にはドルが買い戻される場面もありましたが、円は比較的底堅く推移しました。

これまでドル円を支えてきた最大の要因は、日米金利差でした。

しかし今後は、米国が利下げするかだけではなく、日本がどこまで利上げするのかも同じくらい重要になります。

日米双方の金融政策が引き締め方向に動く可能性があるなか、為替市場では単純なドル高シナリオを置きにくくなっていると見ています。





コモディティ市場では原油価格の上昇が目立ちました。中東情勢の悪化を受け、9月4日時点でWTI原油は1バレル91ドル台、ブレント原油は92ドル台まで上昇しました。

原油高が株式市場に与える影響は、大きく2つあります。

1つ目は企業コストです。

輸送費、電力料金、原材料費などが上昇するため、価格転嫁力の弱い企業では利益率が圧迫されます。

2つ目は金融政策です。

エネルギー価格上昇によってインフレ率が再び高まれば、FRBをはじめとした中央銀行が利下げを行いにくくなり、場合によっては追加利上げが必要になります。

つまり現在の原油高は、「企業利益を圧迫する」と同時に「金利を押し上げる」という二重の意味で株式市場に逆風となります。


一方、銅など一部の資源価格は底堅く推移(というか上昇)しています。AIデータセンター、送電網、電力設備、再生可能エネルギーなどへの設備投資が拡大するなか、銅需要には循環要因だけではなく構造的な成長要因があります。

農産物でも小麦やトウモロコシなどが高値圏で推移しており、エネルギーだけではなく、コモディティ全体からインフレ圧力が高まる可能性には注意が必要です。

マジノラインとしてゴールドは4280ドル、ドル円は155円が重要ラインとして意識されているようです。



原油高と、世界的な長期金利上昇、円高が同時に起きている状況で、

今後の最大の焦点は、米CPI、FOMC、日銀金融政策決定会合です。

特に米国では、強い雇用統計が出た以上、次の焦点はインフレです。

CPIが高止まりすれば、米10年債利回りがさらに上昇し、株式市場のバリュエーション調整につながる可能性があります。

ただし、その場合でもすべての成長株が同じように下落するとは考えていません。

利益成長率が高く、フリーキャッシュフローを生み、投資負担を吸収できる企業には資金が残りそうです。


日本株については円高で原材料コストが下がる企業、金利上昇が収益改善につながる企業、原油高を価格転嫁できる企業、海外売上比率が高くても為替影響を吸収できる企業など、業績への影響を個別に確認する必要がありそうです。