週足チャートで振り返る【7月27日週の相場まとめ】 | 三井智映子オフィシャルブログ「ちえこのなかみ」 powered by アメブロ

週足チャートで振り返る【7月27日週の相場まとめ】

先週の市場を振り返りましょう。

先週の米市場ではAI投資への見方が改善し、主要3指数は反発。FOMC・GDP・PCE・大型ハイテク決算が相場を左右した1週間でした。









週前半はAI関連株への警戒感が残っていましたが、マイクロソフト、メタ、アマゾンの好決算を受けて「AI投資は利益につながり始めている」との見方が広がり、市場心理が改善しました。一方で、アップルは慎重な見通しが嫌気されて下落するなど、AI投資の成果が株価を大きく左右する選別相場がより鮮明になりました。

特に週後半は、マイクロソフトとアマゾンが指数を力強く押し上げました。


注目された経済イベント・経済指標をみてみますと、FOMC(7月29日)でFRBは市場予想通り政策金利を据え置きました。

「インフレ率を2%へ戻す」という姿勢を維持し、市場では年内の利下げ期待がやや後退しました。一方で、追加利上げを強く示唆する内容ではなく、株式市場は比較的落ち着いた反応となりました。声明では従来よりフォワードガイダンスを後退させ、市場環境を見ながら柔軟に対応する姿勢を示し、市場では高金利が長引く可能性を意識する展開といえそうです。


米4~6月期GDP(速報値)は市場予想を上回る内容となり、米国経済の底堅さが改めて確認されました。企業の設備投資や個人消費が引き続き景気を支えており、「景気後退入りはまだ見込みにくい」との見方が広がりました。

景気の強さは企業業績への安心感につながる一方、FRBが金融緩和を急ぐ必要性は小さくなるという見方にもつながりました。

FRBが最も重視するインフレ指標である6月PCE物価指数は前年比3.7%上昇と市場の予想通りながらインフレが依然として高めであることを示しました。急激な物価加速ではありませんでしたが、簡単には2%へ戻らないという認識が改めて意識され、金利は高止まりしました。市場では高金利環境でも利益を伸ばせる企業がより評価される流れが続いています。


大型企業決算を見てみますとマイクロソフトはAI需要を背景にクラウド事業が市場予想を大きく上回り、株価は急伸しました。Azureの高成長が続き、「AI投資は着実に利益へ結びついている」と市場が評価したことから、半導体やAI関連銘柄全体の追い風となりました。

メタは広告事業が堅調だったことに加え、AI関連投資への期待も維持されました。巨額投資を続けながらも収益性を維持できている点が評価され、AIインフラ投資への過度な懸念が後退しました。

アマゾンはクラウド事業(AWS)の成長と利益率改善が好感され、株価も大幅上昇しました。市場では「AI投資の回収フェーズに入り始めた」と受け止められ、AI関連銘柄全体の買い戻しにつながりました。

アップルは決算自体は大きく崩れませんでしたが、今後の売上見通しが市場期待を下回り株価は下落しました。AI戦略が他社より慎重と受け止められたこともあり、AIテーマでは出遅れ感が意識されました。

今週はAI投資は本当に利益を生み出せるのかという市場の疑問に対し、マイクロソフトやアマゾンが一定の答えを示した1週間だったといえます。一方で、アップルのようにAI戦略や成長見通しが期待に届かなかった企業は厳しく評価されました。また、GDPの底堅さとPCEの高止まりから、米国経済は依然として堅調ですが、FRBがすぐに金融緩和へ転じる環境ではないことも改めて確認されました。

今後の相場は、金融政策への期待だけで上昇する局面ではなく、高金利環境でも利益を伸ばせる企業が選ばれる業績・AI選別相場が一段と鮮明になっていく可能性が高そうです。



先週の日経平均株価は週足で249円13銭の下落。AI・半導体関連株の急落と急反発を繰り返した印象です。週前半は、前週から続くAI関連株への利益確定売りや、韓国半導体株の下落を受けて大きく調整しました。一方、週後半には東京エレクトロンをはじめとする半導体関連企業の決算や、米マイクロソフト・アマゾンの好決算をきっかけにAI需要への期待が再び高まりました。

日銀金融政策決定会合では政策金利を据え置きました。一方で展望レポートでは物価見通しを引き上げ、「経済・物価が見通しどおり推移すれば追加利上げを続ける」という姿勢を維持しました。

熊本での大地震発生も影響したように見えます。

なお、熊本で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。余震や二次災害への不安が続くなか、皆さまの安全と一日も早い日常の回復をお祈りいたします。


さて今週は国内外ともに決算発表がピークを迎えました。

東京エレクトロンはAI向け半導体需要の強さを背景に市場の注目を集めました。設備投資需要の底堅さが確認され、半導体関連株全体の買い戻しにつながりました。

キオクシアホールディングスはメモリー市況への慎重な見方から株価の変動が続いていましたが、AI向け高性能メモリー需要への期待は引き続き強く、市場の関心が高い銘柄となりました。

日立製作所はデジタル事業や社会インフラ事業が堅調で、収益力の高さを改めて示しました。

アドバンテストはAI向け半導体検査装置需要への期待が引き続き株価を支える材料となりました。


FOMCと日銀という2つの金融政策イベントを無難に通過したことに加え、米巨大IT企業の決算が市場予想を上回ったことで、AIへの大型投資が単なる先行投資ではなく、実際の収益拡大につながっていることが確認されました。

一方で、TOPIXは日経平均ほど力強い動きではなく、AI・半導体関連以外では利益確定売りや戻り待ちの売りも目立ちました。今後は「AIなら何でも買われる相場」ではなく、利益成長が伴う企業とそうでない企業の選別が一段と進む展開が続く可能性があります。投資家にとっては、金融政策だけでなく、企業がAI投資をどのように収益へ結び付けているかを見極めることが、これまで以上に重要になりそうです。


また週後半の為替市場では、円相場が1ドル=164円近辺から一時157円台まで急上昇し、日本株にも大きな影響を与えました。日本政府・日銀による円買い介入に加え、米財務省も円買いに動いたと報じられています。ニューヨーク連銀は米財務省の代理として、ユーロを売って円を買ったとされ、日米の協調介入は2011年以来となります。日本政府は8月2日、日米が共同で行動したことを公表する方向と報じられました。3日に片山さつき財務大臣が記者団に一連の円安是正策を説明する見通しと報じられています。

介入に先立ち、米財務省が複数の銀行に介入への準備を要請し、ニューヨーク連銀がドル円などのレートチェックを行ったとの報道もありました。ベッセント米財務長官の手元を撮影した写真には、「日本円を50億~100億ドル購入」と読めるメモが写っていました。円換算では、およそ8,000億~1兆6,000億円に相当します。ただし、実際の米国側の介入額は現時点で公表されておらず、メモの金額がそのまま実行されたと確認されたわけではありません。

米国が円買いに加わった背景には、円安を止めて日本を支援するだけでなく、米国債市場を安定させたい事情もあると考えられます。日本は世界最大の米国債保有国で、日本の金利上昇や円安が続けば、日本の金融機関が外債を売却して国内資産へ資金を戻す可能性があります。米国債への売り圧力が強まれば、米金利の上昇や米政府の利払い負担増加につながるため、円安の抑制は米国にとっても一定の利益があります。これは公式に示された介入理由ではありませんが、日米双方の利害が一致したとの見方には合理性があります。

また、日本が介入資金を確保する際、米国債を直接売却するのではなく、米国債を担保にドルを調達できるFIMAレポ・ファシリティーを利用すれば、米国債市場への売り圧力を抑えながら円買い介入を行うことができます。今回、この仕組みが活用されたと報じられており、円相場と米国債市場の双方を安定させる意図がうかがえます。



長期投資家にとって、急激な円高はS&P500や全世界株式など海外資産の円換算評価額にはマイナスです。一方、これから積み立てる資金については、同じ円の金額でより多くの海外資産を購入しやすくなります。介入によって短期的に為替が大きく動くことはありますが、金利差や日本の貿易・サービス収支といった構造要因まで一度に変わるわけではありません。長期投資では、為替の急変だけを理由に運用方針を変えるのではなく、積立と地域分散を続ける姿勢が重要です。


長くなってしまいましたが、今週もどうぞよろしくお願いします。