10日の日経平均は反落。下落要因を考察、まとめてみました。
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10日の日経平均株価は、前日比1237円36銭安の6万4179円27銭と大幅反落。
出来高は25億3581万株、売買代金は11兆3336億円。
前日に1,392円高と大きく反発していた反動もあり、きょうは再び売りが優勢となりました。TOPIXも反落しています。米CPI発表を控えた持ち高調整が活発化し、先週までの高値更新局面で買われてきたAI・半導体関連株が売られた一方、内需株の一角には資金シフトも見られました。
下落要因をまとめてみます。
下落要因① 米利上げ観測が再び重しに
一番大きな材料は、米国の利上げ観測です。
今晩、米国では5月の消費者物価指数、CPIの発表が予定されています。市場では、米国のインフレがなお高止まりしているのではないか、という警戒が強まっています。ロイター調査では、5月の米CPIは前年比4.2%まで上昇する可能性が示されており、これが実現すれば、FRBが簡単には利下げに動けないとの見方が強まります。
さらに、先週発表された米雇用統計が強かったことも、株式市場には逆風になっています。
普通なら「雇用が強い=景気が良い」で株高要因になりそうですが、今の市場ではFRBが「景気を支えるために利下げする必要はない」と判断しやすくなるという考えに繋がり、そこに原油高によるインフレ懸念が重なると、むしろ利下げどころか利上げの可能性まで意識されるため、PERの高いAI・半導体株には売りが出やすくなります。
企業業績だけでなく、金利の見方ひとつで株価の許容倍率が変わる相場という印象で、AI関連の成長期待が強いことは変わらなくても、金利が上がると将来の利益を高く評価しにくくなります。
下落要因② 中東情勢の緊迫化で原油高・インフレ懸念
米国とイランの緊張が再び高まり、アジア株が下落、原油価格が上昇したと報じられています。特にホルムズ海峡周辺の緊張は、エネルギー供給への不安につながりやすく、日本株にとっても無視できません。
日本はエネルギー輸入国で原油価格が上がると、企業のコスト増、家計の負担増、貿易収支の悪化、円安圧力など、市場に影響します。しかも今回は、原油高が米国のインフレを再加速させる可能性も意識されています。
つまり中東リスクは、日本株に対して直接のリスクオフ要因であると同時に、米利上げ観測を強める間接的な要因にもなっています。
原油高が長引くと日本の輸入コスト増から円安圧力も出ます。
下落要因③ AI・半導体株の高値疲れ
今回の下げで特に目立ったのは、AI・半導体関連株の一角への売りです。
これまでの日本株は、AI、半導体、データセンター、電線、電力、電子部品といったテーマが強く、日経平均を大きく押し上げてきました。
ただ、上昇スピードが速かった分、米金利やCPI、中東情勢などの不安材料が出ると、まず利益確定の対象になりやすいのもこの分野です。
AI相場そのものが終わったと決めつけるのは早いと思いますし過熱していた部分のガス抜きに近い印象ですが、今後は単にAI関連だから買われるではなく、実際に受注、利益率、設備投資、キャッシュフローにつながっている企業が選別されやすくなるでしょう。
為替市場は円安方向に動いています。
日経新聞は、FX個人投資家のドル買い比率が過去最低になったと報じており、政府・日銀による為替介入を見込み、個人投資家が円高方向にポジションを傾けているよう。
原油高もあってドル高方向のなかで介入期待で円買いをする動きが増えると、もし介入がなかった場合、逆にドル円がもう一段上に走るリスクもあります。個人のドル買い比率が過去最低ということは、円高を見込むポジションがかなり積み上がっている可能性があり、CPIやFOMCでドル高材料が出た場合には、踏み上げ的なドル高・円安も起こり得ます。
そしてウォーシュ新FRB議長の初FOMCもかなり重要です。
米国ではケビン・ウォーシュ氏がFRB議長に就任し、6月16〜17日に新議長のもとで初めてのFOMCが開かれます。6月会合での利下げはないと市場は、織り込んでいる状況(政策金利が現在の3.50〜3.75%のレンジで据え置かれる見込み)ですが、
ウォーシュ氏にとって難しいのは、今のインフレが需要が強すぎるインフレだけではなく、原油高などの供給ショックも含んでいる点なのでは。
供給ショックによるインフレに対して、中央銀行が強く利上げをすると景気を冷やしすぎるリスクがあります。一方で、何もしなければFRBはインフレを放置していると見られ、期待インフレが上がってしまうリスクがあります。
どのように舵取りしていくのかも注目です。
