【5月12日週相場まとめ】週足で振り返り。 | 三井智映子オフィシャルブログ「ちえこのなかみ」 powered by アメブロ

【5月12日週相場まとめ】週足で振り返り。

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先週の米市場は上昇。週足でダウ平均は3.41%、1405ドルの上昇、S&P500は5%、ナスダックは7%と大きく上昇。

米中貿易摩擦の緩和からリスクオンの流れに。前週に米国と英国が貿易協定を締結で合意するなど関税交渉が進展が買い材料となったよう。







米国と中国が12日に貿易問題を巡って週末にスイスのジュネーブで行った閣僚級協議において相互に発動した関税率を115%引き下げることで合意したと発表。米国は累計145%の関税率を30%に、中国は125%を10%にそれぞれ下げ、引き下げた関税のうち一部は90日間停止して協議を続ける模様です。

ただ12日に米連邦議会下院の与党・共和党指導部からトランプ減税の恒久化を含めた大型法案を公表し、5月26日までの下院での可決をめざす見通しでベッセント米財務長官は7月4日までの成立を見込んでいる模様。低所得層向けの支援を絞るなど歳出削減を盛り込んだものの財政の悪化につながる見通し。


経済指標では、13日発表の4月米CPI は前年比2.3%上昇と市場予想と前回の2.4%を下振れ。食品とエネルギーを除くコアは前月と変わらず2.8%。(この結果を受けてトランプ大統領は米国はゼロインフレであるとFRBに利下げを迫った模様。)

15日発表の4月の卸売物価指数(PPI)は前年比2.4%の伸びで減速、前月比で0.5%低下と予想を下回る低調な結果でした。小売売上高は伸びが鈍化したものの予想を上回ったため景気減速懸念が緩和。

5月の米消費者態度指数(速報値)は50.8と前月の確報値である52.2から1.4ポイント低下し、22年6月以来の過去2番目の低水準に。5カ月連続で低下しており、消費者マインドが冷え込んでいることが見て取れ、個人消費が弱含む見通しです。

また1年先の期待予想インフレ率は1981年11月以来、約44年ぶりの高水準である7.3%でした。インフレ圧力の高まり、不確実性を示す結果となったと考えます。


加えて先週はトランプ米大統領はサウジアラビアのムハンマド皇太子と会談し、サウジによる米国への6000億ドルの投資確約を取り付け、約1420億ドル規模の武器売却でも合意したと報じられています。

個別では、サウジアラビアの政府系ファンド傘下のAI関連企業と提携と報じられたエヌビディアが上昇、ハイテク株も買い戻されました。

また収益見通しの撤回とCEO交代発表、司法省がメディケア事業で不正行為の疑いがあるとして捜査していると報じられるなど悪材料から8日続落のユナイテッドヘルスが週末反発しましたが、その流れが続くかも注目です。





さて16日に米格付け大手ムーディーズ・レーティングスが米国債の長期信用格付けを最上位の「AAA」から「Aa1」へ1段階引き下げたと発表した、と報じられています。これで米国は主要格付け会社による最上位の格付けを全て無くした形です。

米政府の財政赤字の拡大と返済能力に対する懸念を理由としている、とのことで、「世界一安全な資産」と見なされてきた米国債が格下げによりその信用性に疑義が生じたことは、リスク資産からの資金流出を招き、株価下落圧力が強まる可能性があります。安全資産としての魅力が相対的に低下することで、ドル売りが進む可能性も。

「米国債の信認低下 → ドル安 → 円高」という流れが起きれば、日本企業の業績悪化懸念、日経平均の下落も考えられます。

とはいえ米国の慢性的な財政赤字と金利負担は今後も続くと見られ、市場は金利・信用リスクの上昇を徐々に織り込んでいく展開が想定されるのかなと。

先週のドル円は円安進行したものの失速で145円台で終了、日経平均株価は週足で250円39銭の上昇でしたが、急な円高は日本株への逆風なので月曜日の値動きに注目したいと思います。