【地政学リスクと利下げ期待後退】先週の相場を振り返りましょう。 | 三井智映子オフィシャルブログ「ちえこのなかみ」 powered by アメブロ

【地政学リスクと利下げ期待後退】先週の相場を振り返りましょう。

Ciaoにっこり


先週の相場を振り返りましょう。

週足ではダウ平均が0.01%上昇、S&P500は3.05%下落、ナスダックは5.52%の下落となりました。

S&P500とナスダックは6営業日続落となり、先週は下げ一方でした。

半導体関連株の下落が特に厳しくフィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は週足で9.23%の下落となりました。


市場予想を上振れる経済指標が相次いでいることやのパウエル議長をはじめとしてFRB高官のタカ派的な発言を受けて、今週は米利下げ観測が大幅に後退し利下げ開始の時期が不透明となっています。6月に利下げをするのではとの見方が優勢だったのが利下げは年内2回、もしくは1度もないかもと言った見方に変わってきています。

また中東情勢への懸念の高まりも相場の重しに。


今週発表の経済指標では3月の米小売売上高が前月比0.7%増と市場予想を上ぶれたほか2月分も上方修正されました。インフレ再燃への懸念が…。

また新築住宅着工件数が予想を下振れしたほかパウエルFRB議長が討論会で物価上昇率が2%に戻る確信を得るには予想以上に時間がかかりそうだと発言しタカ派的な内容と取られてFRBによる利下げ時期が後にずれるとの見方から米長期金利が上昇。

ベージュブックでは米国の経済活動は全般的に2月下旬から4月初旬にかけてわずかに拡大したとの認識が示され、企業間でインフレ低下の進展の停滞が懸念されていると指摘されているようです。IMFが16日に最新の世界経済見通しで2024年の世界経済成長率を3.2%と前回見通しから0.1ポイント上方修正しましたが、その内容と整合性は取れているように感じました。


中東ではシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館周辺がイスラエルによるとみられる攻撃を受けたことからイランは報復を行うと表明していましたが、イラン革命防衛隊がドローンとミサイルを発射したと発表し、イスラエル領をはじめて直接攻撃したことで中東情勢の緊迫化が意識されています。加えて18日にイスラエルがイランを空爆したと報じられ中東の地政学リスクの高まりが意識されたものの「イラン側は今回の件を重要視せず、報復の計画はないと示唆」したとされている。ただ先行きは不透明なままです。


個別では注目されたオランダ半導体露光装置のASMLホールディングの決算で、受注額が市場予想を下回ったことで、フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も下落。加えて、台湾の半導体受託生産世界再大手TSMCの決算は良好な内容だったものの2024年の半導体市場全体の成長見通しをこれまでよりも少し引き下げたことが嫌気されて、SOX指数は2月下旬の水準まで低下しました。

また予想に反して業績アップデートを公表しなかったスーパー・マイクロ・コンピューターが大幅安となったほか、エヌビディアをはじめ大手ハイテク株も下落しています。

今週の日経平均は週足で2455円20銭の下落となりました。米利下げ期待後退で日米金利差拡大への思惑から為替は1ドル154円台後半まで円安ドル高が進行したものの米市場の下落などから軟調推移に。日本政府観光局(JNTO)が発表した3月の訪日客数が308万1600人で統計調査開始の1964年以降初の300万人突破で過去最高。観光庁によれば今年1月から3月の外国人旅行者の日本での消費額は1兆7505億円と3か月間の額として過去最高とのことで、円安も寄与してインバウンド需要は好調のようです。