UACJ様の個別株レポートです。 | 三井智映子オフィシャルブログ「ちえこのなかみ」 powered by アメブロ

UACJ様の個別株レポートです。

さて、ウォッチさせていただいている銘柄、UACJ様について足元の決算についてレポートいたします。


https://www.uacj.co.jp/ir/


↑19日取引終了後に203月期連結決算を発表しました。


UACJは、2013年に日本のアルミニウム業界を牽引してきた国内トップの2社、古河スカイと住友軽金属工業が経営統合して誕生したアルミニウム総合メーカーで、アルミ圧延品事業が柱です。

アルミニウム分野は技術が難しいことで参入障壁が高く、同社が国内市場を席巻。国内のアルミニウムのシェアは50%を超える。アルミニウム板製品で年間100万トンを超える世界トップクラスの生産能力と、国内外のアルミニウム製品の製造から加工までをワンストップで手掛けている付加価値型の技術力に強み。世界的にも米企業2社に次ぎ、世界34位を争うシェアを持つが、提供できる商品は世界トップより種類が多い。

飲料缶や自動車用部材、エレクトロ機器や医療用品、さらにはロケット・航空機の部材など幅広い産業分野のニーズに対応。自動車用部材では高温成形用アルミニウム合金を開発したほか、国内トップシェアの熱交換器材、世界でも数社しか生産できないコンプレッサホイールなど、技術力に裏付けされた部材を提供している。自動車用部材は注力分野の柱としてやっていく方針。

アルミニウム需要のメインは缶材で、特に東南アジアを中心に底堅い重要が継続すると考えられる。また5Gでの半導体関連の需要や、自動車の軽量化やEV化などによる需要増でアルミニウム市場は堅実な成長を見込む。

アルミニウム需要の世界的な増加に応えるために同社はグローバル拠点の拡大にも注力。アルミニウム缶需要の4割強を占める米国市場に対応するべく20118月に国内4社との共同出資で米国の世界最大級のアルミニウム板圧延製造販売会社を買収。

また日本のアルミニウム圧延会社としては初となる、海外での板圧延一貫生産工場・UACJタイランドを自動車産業が盛んな地域であるタイに建設。20158月から一貫生産をスタート。2016年度に追加投資を決定。完工後の生産能力は32万トンと、アジア屈指の規模となる。


アルミニウム産業の今後の展望については、メインの缶材は、東南アジアが牽引し底堅い重要から今後も伸びていく見通し。

203月期連結決算でもタイや米国の缶材が増加したほか、自動車向けが増加した模様です。営業利益は前期比31.9%減の1012600万円となったものの、従来予想の75億円から上振れたことが評価されて足元では株価が上昇しています。(2020年度は他社同様に未定となっています。)


国内事業は市場の縮小傾向が続くものの、自動車の軽量化やEV化などにより、アルミニウムの需要の増加傾向は継続する見込みで、自動車向けでは需要の伸びるバンパーやパネル材などに注力していくものこと。トランスミッションやホイールなどの機構部品から、ボディ、フレームなどすでに幅広く採用される同社の技術力が業績成長につながるでしょう。

半導体、IT製品は足元では米中貿易摩擦などの影響でダウントレンドとなっているが、5

G重要で底入れしてくる見通し。今のところは回復のシグナルがアルミ業界では見えないものの、半導体の需要が旺盛となれば大幅な業績への寄与が期待されます。

加えて昨今の脱プラスチックで欧米からのアルミ缶の問い合わせが足元で増加。すでに大手企業が米市場で缶のミネラルウォーターを発売しており、それがトレンド化すればアルミの価格の上昇が想定され、同社の業績にも大きく寄与するでしょう。

 

収益力の改善を図るため、内部から改革を実行することを明言。2019930日に公表した「構造改革の実行」において、稼ぐ力の向上、財務体質の改善、経営のスピードと質の向上を基本方針とし、環境変化に強い筋肉質な企業体質を確立するとしています。

具体的には即効性のある①国内の生産設備の稼働率の向上、海外の設備能力の最大活用②ビジネスモデルをソリューション型へ転換③不採算部門などの売却、撤退の検討のほか、同社を土台から変革する④組織のスリム化でガバナンス意思決定のスピードを早める⑤マネジメントの見直し型データの可視化⑥同社の企業風土や理念の再確認と再構築に取り組んでいく。

足元では経営のスリム化、改革が進んできていることが確認されています。


今後のリスクとしては自動車の部材において鉄からアルミに変わっていくと言う流れが途切れたらと言うリスクが。また同社の売り上げの半分が国内であることから景気の悪化懸念があるものの、グローバルの視点では成長期待のほうが強いと言えるでしょう。