米朝首脳会談についての考察
米朝首脳会談についてまとめておきましょう。
12日に行なわれた史上初の米朝首脳会談に対するマスコミなどの評価は一様ではありませんが、
米マスコミの間では「北朝鮮の完全な非核化に向けた具体策に欠ける」との批判が多いようです。
米ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は、「米国が長年要求してきたはずの完全で検証可能かつ、不可逆的な非核化(CVID)を実現させるプロセスはほぼ含まれていない」と指摘し、
ニューヨーク・タイムズ(電子版)では「共同声明では非核化の詳細について触れていない」との見解が提示されました。
日本のマスコミも「具体策が示されていない」と批判的な見方を伝えるところが少なくないようです。
ただし、「北朝鮮(朝鮮半島)の完全な非核化」にはかなりの時間がかかることは周知の事実であり、
トランプ大統領もこの事は十分わかっているはずです。
専門家や識者の多くは北朝鮮の完全な非核化に懐疑的ですが、
非核化実現で技術的に極めて困難である項目はほとんどないと言われており、
要は当事者の意向次第となるはずです。
米国と北朝鮮のトップが決断したことは極めて重いだけに、
組織的に忠実に取り組むことによって非核化は確実に実現されるはずです。
北朝鮮には体制保証と経済支援というこれ以上ないと思えるほどのインセンティブが提示されており、これに背を向ける理由は見当たりません。
米国側と実務レベルでの協議を重ねつつ、
非核化の工程表をすみやかに作成し、
早い時期に作業を開始すると予想されます。
非核化のプロセスに中国、韓国、日本、ロシアなどが加わることもあり得るでしょう。
金融市場では「北朝鮮の非核化」はすでに過去の出来事になりつつあり、
米FRBと欧州中央銀行(ECB)の今後の金融政策のあり方に大方の関心が向けられています。
日本時間14日未明に公表・予定されているFOMC声明とパウエルFRB議長の記者会見、
14日開催のECB理事会の結果を注目しましょう。