吉田みつひろです。

本日、11月県議会定例会の最終日に

本会議場にて、地方創生加速化特別委員会の委員長報告をいたしました。

★地方創生加速化特別委員会 委員長報告

地方創生加速化特別委員会を代表いたしまして、

本委員会における審査の経過並びに結果について御報告を申し上げます。

 我が国は、少子高齢化・人口減少という困難に直面しており、本県においては、県外への人口転出等による社会減に加え、大幅な自然減が進行し、人口減少に歯止めがかからない状況となっています。特に、女性や若者の転出が社会減の大きな要因となっており、こうした状況を、一刻も早く変えていかなければならない、待ったなしの状況であります。

 県では、道半ばにある地方創生の取組を、さらに加速・深化していくとされたことから、県の取組がさらに着実に進展するように、前回の「地方創生推進特別委員会」の活動を引き継ぐ形で、昨年7月、「地方創生加速化特別委員会」が設置されました。

 本委員会では、現場調査に力点を置いた活動を通じて、地域の課題や地方創生のさらなる推進方策等について検討するため、県内外において20箇所に赴き、調査に取り組んでまいりました。そして、現場において、それぞれの取組にかける思いや、その実現に立ちはだかる障害、また、その克服のための御意見や御提案等についてお伺いし、意見交換等を行ったところであります。

加えて、ネウボラの本場、フィンランドの駐日大使館広報部や、地域おこし協力隊の方々、また、執行部からも説明をいただき、意見交換等を行うとともに、委員間において、本県の取組をさらに強化・充実する必要がある事項について、活発な議論を重ねてまいりました。

 そして、本委員会における審査結果の取りまとめに当たり、これらの御意見や御提言、委員から出された意見等を集約し、審査項目をベースに設定した5つの大きな柱に沿って、22項目の政策提言として取りまとめたところであります。

 それでは、本委員会における審査結果の概要について御報告いたします。

 政策提言の柱の第一は、「産業振興による雇用の創出」であります。
 本県が抱える最大の課題であります人口の転出超過にブレーキをかけるためには、県内中小企業や農林水産業が、一人でも多くの方々から就業先として選ばれるように受け皿としての魅力を向上させ、その魅力をしっかりと周知することが必要であります。
 一方で、多くの事業者は、後継者問題や働き手の確保、将来的な事業展開、IoTやAI等の先端技術への対応など、大きな不安や懸念を抱かれております。
 このような中、自らの経営戦略、創意工夫に加え、県においても、事業者に対し、一歩でも前に出て向き合い、きめ細かく支援を行っていくことが、事業者が未来を切り拓いていく上での大きな支えにもなると考えます。
 そこで、企業による活動の多角化へのチャレンジ、先端技術への的確な対応に向けた支援や、創業促進のための支援について、一層の充実・強化を図るべきであります。
 また、農林水産業については、本県で生産したモノが、市場で高く評価されるように、農林水産物の高品質化や高付加価値化など、所得向上のためのあらゆる方策を、多くの事業者にきめ細かく広げていくことが必要であります。
 さらには、海外展開・国際交流の動きを、持続的なものにするための県の体制整備も重要と考えます。

 第二は、「人材の定着・還流・移住の推進」であります。
 本県には、世界トップレベルのシェアを持つ企業や、国内外から多くの人々が訪れている観光地、歴史的な史跡など、他に誇る多くの財産がありますが、このことが、県内に住む人々に、知られていないという実態があります。県民が、県の様々な魅力を知れば、ますます誇りに感じると思いますし、定住や将来のUターンにもつながるものと思います。さらには、SNSや口コミ等を通じて、県の魅力が、県民から県内外に情報発信されるという副次的な効果も見込まれます。
 そのためには、県民が、県内産の商品やサービスを使用したり、観光地等を訪れたり、具体的な行動となるように、積極的な情報発信に加え、双方向型、体験型等の取組を進めていくことが重要であります。
 また、本県には、素晴らしい企業や観光地のほかにも、地域の農林水産物を使って飲食店を経営し、地域の活力発信源にもなっている事業者や、加工品を製造・販売して地域に元気を届けている事業者など、その活動によって、地域の魅力が一層高められている事例があります。これらの多彩な魅力について、県民に浸透していくような効果的な広報を行い、地域のさらなる活性化を図るとともに、定住や移住などにもつなげていくことが求められています。

 第三は、「結婚・出産・子育て環境の整備」であります。
 県では、結婚から出産、子育てまで切れ目のない支援に取り組んでいますが、そうした支援の垣根をできる限り低くし、必要な方が気軽に相談をして、悩みや不安の軽減・解消に向かうようにしなければなりません。このため、正しい医学的知識の普及啓発や、やまぐち版ネウボラのさらなる推進が必要です。
 また、希望する人が、本県で安心して家庭を築くことができるように、企業等への普及啓発や気運醸成、結婚や子育てを社会全体で支える環境づくりへの支援が、これまで以上に求められています。
なお、都道府県全体の人口減少にブレーキがかかるような、税財政などに関する国の制度創設等も、様々な機会を通じて提案する必要があると考えます。

 第四は、「女性の活躍促進、高齢者等が活躍できる地域づくり」であります。
 少子高齢化や人口減少が進行し、中小企業の後継者不足、人手不足が深刻となっておりますし、地域の活力が低下している厳しい現状があります。
 そこで、これまで産業や地域活動等を支えてこられた、女性や高齢者が持つ能力や知識を、地域の活性化に活かしていく取組が求められております。また、育児のために離職した女性や、障害を持つ方々など、就業を希望する人が能力や個性を発揮し、活躍できるよう、環境整備にしっかりと取り組んでいくことが重要と考えています。

 第五は、「持続可能で元気な地域社会の形成」であります。
地域づくりなどに携わる方々から聞こえてきたのは、地域における人材の確保・育成の重要性であります。このため、地域の活性化を牽引できるキーパーソンとなる人材の発掘、育成をはじめ、行政職員についても、地域活性化のノウハウを、地域に還元していく取組を強化することが必要であります。
 また、元気な地域社会を実現する上で、地域経済や雇用の柱となる新たな事業の創出を、部局横断的に支援していく必要性が高まっています。特に、本県が有する水素や、木質バイオマスなどの地域資源を活用した産業創出は、一石二鳥にも三鳥にもなる取組であります。

 政策提言の概要は以上のとおりでありますが、地方創生の取組を加速・深化していくためには、県民の皆様の御理解、御協力が不可欠であり、現場の声に耳を傾け、地域の実情をしっかりと踏まえた施策を構築することが求められております。

 そして、人口減少という厳しい現状に対する危機感を強め、あらためて、これまでにない視点、部局横断的、多角的な視点から施策を検討の上、効果的な財源確保にも努めながら、今後編成される平成31年度当初予算等において、着実に具体化していくことが肝要であります。

 以上が、本委員会の審査の経過並びに結果の概要であります。

 明治改元から150年という節目を迎え、私たちは、いよいよ訪れる、新たな時代への一歩を踏み出すことになります。このような時にこそ求められるのは、高い志と行動力、そしてスピード感をもって、必要な施策を実行していくことであり、そのような想いのもとに、本委員会では政策提言、報告書を取りまとめたところであります。

 村岡知事を始め、執行部におかれましては、この趣旨を十分にお酌み取りいただきますとともに、国・政府の取組ともしっかりと連携しながら、平成のその先の時代をしっかりと見据え、活力みなぎる山口県の実現に向けて邁進していただきますようお願いいたしまして、本委員会の報告といたします。