「緊急事態基本法」の早期制定を求める意見書


 一昨年に発生した東日本大震災における我が国の対応は、当初「想定外」という言葉に代表されるように、緊急事態における取り組みの甘さを国民と世界に広く知らしめる結果となった。

 世界の多数の国々はこのような大規模自然災害時には「非常事態宣言」を発令し、政府主導のもとに災害救援と復興に迅速に対処している。

 我が国のように平時体制のまま国家的緊急事態を乗り切ろうとすると、その前衛部隊となる自衛隊、警察、消防などの移動、私有物の撤去、土地の収用などに手間取り、救援活動にさまざまな支障を来し、その結果さらに被害が拡大することとなる。

 また、福島第一原発事故への初動対応の遅れは、事故情報の第一次発信者が国ではなく、事故を起こした東京電力当事者という点に問題がある。

 しかしながら、我が国の憲法は、その前文に代表されるように平時を想定した内容となっており、諸外国に見られるような外部からの武力攻撃、テロや大規模自然災害を想定した「非常事態条項」が明記されていない。

 平成16年5月には、こうした不備を補足すべく、自由民主党、民主党、公明党の三党により「緊急事態基本法」の制定について合意がなされたが、いまだ制定には至っていない。

 最近では、尖閣諸島を巡る事件を初め、ロシア閣僚級のたび重なる北方領土への訪問、北朝鮮による核ミサイルの脅威など、自然災害以外にも国民の生命、財産、安全を脅かす事態が発生しており、「緊急事態基本法」の一刻も早い制定が求められる。

 よって、国におかれては、今後想定されるあらゆる事態に備え、我が国及び国民の安心・安全を守るため、「緊急事態基本法」を制定されるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成25年10月4日 

                          山口県議会議長