在沖縄海兵隊の岩国基地への移転等に反対する意見書


 去る2月8日、日米両政府により「在日米軍再編に関する日米共同報道発表」に関連して、グアムに移転するとされていた在沖縄海兵隊の一部、約1500人が岩国基地に移転することについて米側から打診があったとの報道がなされた。

 さらに、これに追い打ちをかけるかのように、先日は、普天間飛行場に配備予定の新型輸送機MV22オスプレイの一時駐機先として岩国基地が取りざたされているという報道までなされ、地元の混乱は深まるばかりである。

 平成18年5月、日米両政府により合意された「再編実施のための日米ロードマップ」では、岩国基地には、厚木基地からの空母艦載機59機の移駐や普天間基地からのKC-130空中給油機12機の移駐など、地元にとっては著しい負担となる内容が盛り込まれ、再編計画に掲げられた個別の再編案は、全体として統一的なパッケージで進めるとされたことから、本県では、これまで、国の外交・防衛政策を尊重し、これに協力する姿勢で対応してきたところである。

 県及び地元の基本スタンスは、普天間基地移設の見通しが立たないうちに、空母艦載機の移駐のみを切り離して進めることは認められない。また、今回の再編計画に掲げれた内容以上の負担増は認められないといものであり、このことは、国に対して、再三にわたって伝えており、本県議会でも、これまでに、岩国基地の今以上の機能強化は到底受け入れられないとする決議も行ってきたところである。

 こうした中で、移転打診報道が唐突にされ、また、今回の報道の発端となった日米共同発表では、在沖縄海兵隊のグアム移転を、普天間飛行場の移設と切り離すことについて議論を開始したとされているが、このことは、全体として統一的なパッケージで進めるとされてきた再編計画の根底にかかわるものである。

 3月15日、外務・防衛の両省から、知事・岩国市長に対して、これらの事項についての説明がされたが、政府におかれては、今後の日米協議において、岩国基地のこれ以上の負担増は認められないことを米側に伝え、岩国基地に、在沖縄海兵隊の移転や、オスプレイの一時駐機などが行われることはないことを一日も早く明確にし、混乱を収拾するとともに、再編計画全体についても、統一的なパッケージで進めるとされた再編の基本の変更は地元自治体に対する十二分な説明とその理解を得た上でなければ進めないという姿勢を明確にするよう、強く求める。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。


平成24年3月16日


                   山口県議会議長  柳居 俊学