三浦しをんさんが、新潮社とAmazonのAudibleのために書き下ろされた作品だそうです。

一時期、何本もお薦めされましたが気にもとめてませんでした。読んでみて「耳心地」のいい作品だなぁとあらためて思います。爽やかな風が吹き渡るような作品でした。


タイトルを見て「墨」とあったので「書」の話し。イメージしたのが…

です。娘の好きなPerfumeが主題歌を歌うということで娘は真剣に。私は音が聞こえてる程度でしたが。和歌山のパンダの命名式での女性の書道家の方や高校生達のパフォーマンスを見ていると、書の世界も幅広く奥深いと感じました。いろんな流派があって書き方もあるのは知っていますが、小学校の授業でしたくらいの私では、なんか、すごいんだろうなぁ…です(申し訳ないです)。


で、お話しは30代の男性2人がメイン!(しをんさんらしい…)です。女性は…身内、程度かな。


ホテルマンの「続力」が「筆耕士」の「遠田薫」を訪ねるところから話しは始まります。力が勤務する「ホテル三日月」のお得意様の「お別れの会」の宛名書きを依頼するために。ホテル側の人間が筆耕士と直接会う事はあまりありませんが、今回は薫の父親である「遠田康春」氏の引退に伴っての交代であり、その康春氏が亡くなったと聞いては挨拶もかねての訪問をという事で、直接という形になりました。


暑い夏のさかりにやっとの思いでたどり着いた「遠田書道教室(蒲鉾板に書いてあった)」、ちょうど子ども達の教室の時間だったので終わるまで待つことに。遠田薫は背も高く惚れ惚れするようなイケメンでした。その指導も独特でしたが、子ども達の書く「風」の字が終わる頃にはどんな風が吹いているの伝わって来ました。薫は子ども達にも慕われている「若先」でした。


薫の書の評判はよく、仕事もしっかりしたものでした。力もときおり、訪れるように…

薫は猫の「カネコ」と暮らしていました。いつの間にか力は薫の書いた漢詩の書を額に入れて飾るほどになっていました。読めなかった漢詩がその意味を理解し読めるようになっていました…


それなのに突然、筆耕士を辞めると言われて…

ひどい雨の中、薫の家に駆けつけて理由を訊くと、薫は自分の過去を語り始めました。どんな生い立ちでどんな風に育ったか。何にもない人間が最後世話になるのは、と言い、先日、力と外出した際に会った高齢の男性が世話になった組長と。その組が解散すると聞いたんだ、自分は自分のできることをする、と。そして「密接交際者」の意味を力に教えました。


三日月ホテルの筆耕士の登録リストから「遠田薫」の名前は削除されました。



もう、これで会うこともないな、と思っていた力でしたが思わぬ救世主が…



薫が書を始めた理由が、先日の『相棒』のある場面と重なりました。その才能を見つけた康春氏は彼を養子にした。薫はとにかく頑張った。それだけです。そして、薫のもう一つの仕事、「代筆業」。これがなかなか…依頼者が小学生なら小学生の、若き女性ならその女性の文字を書くことができる。でも、文章が浮かばない。そこは、彼頼みに…カネコ氏ではできないから。



古典なんて意味がない、と話題になってましたが、そんな事はありません。日本人はいろんな文字を読み、書き、理解する。そこから生み出されるものはとても大きく深い…それが思慮深くにもなる。それはYESかNOしかない世界とは比べ物にならない。もっと言葉を大切に…

書をされる方は特にそうではないでしょうか。

三浦しをんさんの『舟を編む』


の素晴らしさに通じるものがあった、

でした。



能登半島を中心に被災された皆様が早く落ち着かれますように…

世界が平和でありますように…

コロナとインフルエンザに気をつけて😷

今日は冷たい雨が降っている大阪です。皆様、体調には気をつけてください。