久しぶりに江國香織さんの作品を。タイトルだけ見るとエッセイ?と思って借りたら、良質な小説でした。本当に上手い…


主人公は大学時代「三人娘」と呼ばれていた女性達。あれから30年以上経ってもずっと繋がっている。彼女達は作者とほぼ同年齢。それぞれの中に江國香織さん自身がいるのかもしれない…



いきなり次の住む場所が決まるまで住まわせて、とロンドン在住の理恵から民子に連絡があり、OKの返事を出すと廊下に次々と運び込まれた荷物と共に理恵が帰国。彼女は外資系の会社に勤め、今はシングルなだけで結婚も離婚も経験している。そんな事が詰まっていた場所を全て引き払って帰国した。とにかくアクティブ。もう結婚する気はないけどラブは必要という。

そんな彼女を引き受けたのが民子。母親と暮らし結婚歴はない。物書きの仕事をしている。いつも理恵の聞き役になる。学生の頃に付き合っていた男性が離婚して以来、連絡を取り合っている。

そして、早紀。夫と次男と暮らしている。長男は家を出ている。施設にある姑を定期的に見舞い、庭の手入れをし、英会話を習う。そんな日々。


理恵の次の棲家が決まるまでの約半年の日常が書かれた作品。理恵は弟一家とは合わないが甥を可愛がる。仕事で知り合った男性と親しくなりラブを楽しむ。そして、見つけた理想の家…

民子は病気で早くに亡くなった友人の娘を可愛がる。その娘の恋人も家に遊びにくるほど。彼は母親の通うスポーツ施設に勤めているが二人は別れてしまう。その相談先が民子と母親の薫。民子と違い薫は行動的。八十を越えてもまだまだアクティブ。だが薫は、自分が死んだら民子は一人になる…そんな事を心配している。でも、民子は知らない。奔放な母親を心配し、理恵に振り回されながらも小説を書き、元彼か今彼かの彼と柔軟剤の話しをする。

早紀は、23歳の長男が結婚すると知って動揺し、未来の嫁に犬をプレゼントされて珍しく激昂するが…今はまる(犬)なしの生活は考えられない。認知症のすすむ姑を夫ともに見舞うが…

庭の花をこよなく愛してる…


そんな日常が書かれたこの作品、大波も小波もなく進む。三人の老眼鏡が必要になった女性達の生活が淡々と書かれてる。筆力があるからこそ書けるのだろうと思う。派手さはないのにとても惹きつけられる文章…いいな、と思う。



最後は民子と理恵の「想像の上と斜め上の違いは?」で終わりました。言葉は面白い。



能登半島を中心に被災された皆様が早く落ち着かれますように…

世界が平和でありますように…

コロナとインフルエンザに気をつけて😷