↑この事件から1年、麻希は鬱病ということで休職中。本当は辞表を提出しましたが受理されませんでした。自分を野放しにするほうが危険、という上層部の判断だろうと麻希自身は思っています。夫は昇進し警察庁勤務になり、家に帰ってこなくなって2度目の別居状態。健太は婚約中の彼女との生活(パン屋)で家にはあまりいず、娘の菜月との時間が増えましたが…相変わらずの関係…
それでも、最近行き始めた塾が楽しいようで(交換日記をする相手がいる)、麻希は菜月の送迎をしていました。そんなおり、塾の待ち時間で偶然見た全国模試の結果に見覚えのある名前が…職員に訊くと帰国子女(菜月と同い年)という事で個別指導の生徒だという。気になって元彼の広田に訊きますが…

その日は雪が降っていました。麻希はアポをとって気になる子が通う学校を訪ねましたが…何も応答がなく不審に思い中に入ると…授業時間中なのに誰もいませんでした。あったのは男性の遺体だけ。すぐさま警察に連絡し、子ども達の行方の手がかりを探しましたが…体育館に残されていたプロジェクターに「背望会の子」による犯行声明が残されていました。

麻希と背望会の最後の戦いが始まりました。

学校の遺体は校長で、犯人は銃殺後に首に巻かれた爆弾を爆破していました。現場には銃が残されていましたが…それはニューナンブ(警察官用)で、広田(公安)は報告を麻希の夫にしていました。さらに、麻希の元に奈良県警の吾川から連絡が入り、麻希の夫と大阪府警の嵯峨美玲が一触即発にあると教えます。原因は美玲が銃の密輸の摘発のために潜入捜査をさせ、あと少しというところに公安の摘発が入り邪魔されたという。そのトップが麻希の夫。仲介役の中国人は取り逃したが踵に被弾させたという。かなり荒っぽかったと話す吾川だが、麻希はそういう夫の一面を知らない…そして、流通している銃の中にはニューナンブも含まれているという。

麻希は夫に会いに行く…

そして、帰ってこなくなった夫の仕事がなんであるのかを初めて知りました。


子ども達を引率していた教師2人が事故で溺死し、残された子ども達は集団で万引きしたとして補導されたと連絡が入る。話しを訊くと子ども達は課外授業だと思っていたという。先生が帰ってこないから自分達で勝手に行動していたというが、麻希の気になっている子はいなかった。もう少し事情を訊き、ようやく保護できたが、あと教師1名、生徒8名の行方がわからなかった。

背望会と子ども達、焦る麻希は神奈川県警に逮捕される。麻希が背望会と繋がっていると思われた為だが…助けてくれたのは1年前、あの事件を政争の具にした国会議員だった。理由はともかく助けてくれて初めて知ったのは、行方が分からなかった教師が子ども達を巻き込んで警視庁に立て籠っているという事だった。

麻希はどうする?

ここから事件は解決へと向かい、背望会の謎が明かされていきます。
でも、本当の解決には…遠い…

ルビイのオープニングはこの事件からの7年後です。菜月の高校の入学式に夫婦で参列している麻希。その麻希の携帯にあの国会議員から着信が。しつこくならされて出ると、ある男の死刑執行の知らせでした。国会議員は法務大臣となり、死刑執行の命令書にサインする立場にいました。
麻希の顔は…涙に濡れていました。



これで秘匿捜査官シリーズは終わりのようです。一区切り、でしょうか。原麻希シリーズはまだまだ続いています(たくさん借りました)。
ちょっと前に娘が読んでいた海外ミステリーの解説で小説に社会性を持たせるのは?というのがあったそうで、この本はまだその域に達していないが(マッチングアプリを使ったもののようです)、これからに期待と。その成功例として、
をあげられていたそうです(読んでいたので朧げに説明しましたが、もう忘れてるなぁ)。
このシリーズは2010年から2013年に発売されています。当時、日本で要人が暗殺されるとは想像し難いと思いますが、安倍総理の暗殺によって一気に変わりました。場所も同じ奈良県で奈良県警の緩さが書かれてました。このシリーズは社会性を後から持った、と言えます。何よりも原麻希は何に対して怒っているのか、です。昨今の警察事情を見ているとわかるような気がします。
ルビイでは夫婦のある会話があって、そこを読んで思い出しました。警察担当もされた元記者の方が、「警察は警察を裏切った者は許さない」と話されていました。

一区切りと書きましたが、まだ何かあるような気もします。これでは本当の解決にはなっていないと思うから。だけど、ハラマキちゃんは自分のだんな様がどれほどの人なのか、もうちょっとわかってあげてもいいんじゃないかな、と思いますが、どうでしょう?警察物でしたが、いろんな夫婦のあり方や親子関係も書かれていて、こちらも面白く読めました。


世界が平和でありますように…
コロナと熱中症に気をつけて…まだまだ大阪は暑いです〜


〈余談〉
吉川先生、運転頑張ってください〜。