450頁を超えますが後半が特に面白く長さを感じませんでした。久しぶりに「すごいわ」って思った作品です。例えるなら宮部みゆきさんの『火車』のように最後の最後で犯人がわかる、といった構成でした。犯人は確かにいるのに実体が見えない。捜査側も本当にいるのか?と思ってしまうほど、犯人側の見事さ。刑事の「何か違う」の勘が捜査を諦めさせない。その行き着く先にいるのが、犯人…


「解離性障害」の症状を薬で何とか抑えながら暮らす主婦の「高村文絵」。夫と娘2人の4人家族。結婚してからの文絵は夫の束縛によるストレス太りで外に出ることはあまりない。趣味は懸賞応募。手当たり次第応募するので覚えはないけれど人気タレントの「ディナーショー」の券が当たったので思い切って行ってみた。そこで中学の同級生「杉浦加奈子」に声をかけられ鎌倉の別荘に招待される。「お礼がしたい」と加奈子は言うが文絵には覚えがない。戸惑うが好奇心が抑えられず招待を受けてしまう。


鎌倉の別荘で掃除に来た女性から男性が死んでいるとの通報を受け神奈川県警の秦は臨場。死後1週間と見られ腐敗が進んでいた。男性は「田崎実」という実業家で輸入の化粧品や雑貨を取り扱う「株式会社コンパニエーロ」の代表だった。


加奈子は文絵にあるビジネスを持ちかけた。それは会員制の化粧品販売の講師をしてほしいというものだった。自分には顔に酷い傷跡があるから人前に出る事が出来ない。だからいつもサングラスをかけてると言う。いきなり言われた文絵も驚きながらいろいろと訊くが…美しくなるのよ、お金も入るのよと言われ、サンプルを渡される。試しに使ってみるといつも買っているドラッグストアの商品とは全く違う。綺麗になるかも、と思ったらそれに相応しい体型にならないといけないと決心してダイエットに励む。10キロ以上痩せた事を加奈子に褒められ、ついに講師を引き受けることに。そしてビジネスパートナーとして紹介されたのが「飯田省吾」だった。こうして「リュミエール化粧品代表 高村文絵」が生まれた。


秦は鎌倉署の中川刑事(女性)と組み捜査にあたり、田崎が事務所を途中解約(8月)し急いで引き払った(9月)事が分かった。そして別荘周辺では「サングラスの女」が浮かぶ。秦達は田崎の身辺調査を続けコンパニエーロで働いていた2名の派遣社員の証言から「高村文絵」にたどり着いた。


文絵は加奈子と省吾から連絡がないことに不安になっていた。9月の下旬には帰国すると言ったきりフランスから戻ったとの報告はない。省吾も同様だった。不安になっている理由の一つに最近、会員から「投資詐欺ではないか」と頻繁に電話がかかってくるからだった。何のことかわからないのに加奈子達とは連絡が取れない。

とうとう10月になり、文絵の元には秦と中川が…


文絵の事情聴取が始まり事件は動き始めますが…

文絵自身の深い闇は真実を見えなくさせます。そして、もし、犯人側がそれを知って文絵を誘っていたら…

サングラスの女は誰なのか…

秦と中川はサングラスの女を追い、出てくる事実に驚愕しながら、犯人を、それでも突き止めた。



ぜひ、読んでみてください。



世界が平和でありますように…

コロナと熱中症に気をつけて…

台風にも…