よしながふみさんの対談集です。
初出が2007年10月なので少し前になりますが、漫画界の状況が変化しても大事なことは変わらない、と思いました。


対談相手は、

第1章 やまだないと×福田里香「私たちの大好きな少女マンガ」

第2章 三浦しをん その1「フェミニズムはやっぱり関係なくないよ」

第3章 こだか和麻「ボーイズラブじゃないと描けないこと」

第4章 三浦しをん その2「やおいは男同士でなくてもいい」

第5章 羽海野チカ「メディア化するということ」

第6章 志村貴子「表現は選択できない」

第7章 萩尾望都「マンガ=24年組というくらい…」

この中では三浦しをんさんと萩尾望都さんはよく知っていますが、他の方はちょっと知らなくて…、話されてる作品も用語も????で、欄外に説明文があるんですがそれでも雲を掴むようで、う〜ん、……となりました。
そもそも「よしながふみ」さんの作品を読んでいないので無理があったか…と思ったのですが、
第5章の「羽海野チカ」さんとの対談が私的にはとても良くて感想をと思います。
羽海野チカさんの作品も実は読んだことがなくて、ただコロナウィルスの関係で最近Twitterをフォローして、感じたことが間違いではないんだなと思いました(とても謙虚な方)。
感染症の専門医の忽那先生と偶然にもお知り合いとかで、手洗いのポスターを作成されました。あちこちに貼られてるのでご覧になられた方も多いのではないでしょうか?


よしながふみさんと羽海野チカさんはコミケからのお付き合いで『SLAM  DUNK』だそうですが……バスケットボールの漫画、というのが私の知識で、同人誌にはそもそも何が書いてあるのかも理解していない。でも、お二人とも参加人数が少なくなっても最後の一人になるまで(これも?となるのですが同人誌の発行のことでしょうか?)、と思われていたそうです。コミケがどういうシステムなのかも知らないので?ですがお2人は隣同士であっても挨拶程度の仲だったと。
それが、あることで16時間話したとありました。

そのあることというのが、羽海野チカさんの『ハチミツとクローバー』のメディア化でした。タイトルは、知っている、という知識です。
が先に月9になっていたので(タッキー主演と記憶してますが、私、月9観たことがありません)訊きたいことがたくさんあった羽海野チカさんでした(「ハチクロ」がアニメになる直前とありました)。

よしながふみさんの担当編集者の方がこの話しは漫画界以外の人にも読んでもらいたいと思われて、いろんな場所、映像関係とかに送られたそうで結果として月9からオファーが来た、ということでした。その後もこの担当者の方がよしながふみさんのお名前で差し入れをして、打ち上げの際にはビンゴの景品も用意されていたそうです。
この担当者の方は益田ミリさんの解説によれば、本当にいい編集者さんでしょう。
で、よしながふみさんがイベントに行った際にこの件で怒ったファンの方に「なんであんな事許可したんですか!」と言われたので、「ドラマが始まったら、きっとドラマの方がお好きだっていう方が沢山いらっしゃるようになると思いますよ」って答えられたそうです。

なんかとてもよくわかります。自分の好きな作品が映像化されてそれが自分のイメージと違っていたらとても嫌だと感じます。でも、それは私の持ってるイメージで他の人も同じかって言ったら違いますよね。浅見さんなんか特にそうで原作を変えるなぁと叫んでましたから。何とかならないの〜って。それこそ、先生はこれでいいと思ってるの?って。でも、沢山の方に観ていただいたことによって「浅見光彦」役を演じられた俳優さんはみんな浅見さんと認識されて、いつだったか「相棒」で浅見さん何人いるの?って話題になるくらい。それくらい「浅見光彦」は世の中に浸透したんだと思うと嬉しくなりました。よしながふみさんのおっしゃることが今はよくわかります。

クリエイターとして自分の作品を他の方が認めてくれて映像化したいと思われた、その嬉しさは宣伝とかの商業主義的な理由ではない、とよしながふみさん。羽海野チカさんも「そんなにしてまで売れたいのか」という反応が返ってきたときには、悲しくて、分かり合えないのかって思ったりしたとありました。
よしながふみさんが、読者の方々が大事に思っているのは漫画家ではなくて作品。メディア化されることによってマンガが面白くなくなるのではないかとか心配されている。だから、漫画家に出来ることはいつも一つで「面白いマンガをベストを尽くして描こうとすること」って、ビシッと。
(なんか、ここを読んだときにチャンミンのこととも重なりました。彼は彼自身がしっかりして東方神起として活動する、それだけですね)
羽海野チカさんも、とても励みになったと言われていました。

この後も延々と対談は続きました。このお2人の章は本当に秀逸なのでぜひ、とおすすめします。


読んでいて「やおい」という言葉がたくさん出てきて、????と思ってました。それは同性同士でも異性同士でも間には何もないけど何かあるんじゃないかと思わせる仲(ユノがブロマンス、と言ってたように)、みたいな解釈に最終的に落ち着きました(しをんさん、よろしいでしょうか)。そこが女子の萌えポイントだと。そして、女子の萌えポイントは沢山あると。

萌えポイント……


最後の萩尾望都さんとの対談は格調高くなりました。作品に先生の思いが出てるのではないか、というよしながふみさんの指摘、鋭いわっていう先生の返し(先生は意識されてないようで)、漫画家ならではかもしれません。先生、『ポーの一族』について話されて、エドガーが1番が好きと言われたのが嬉しい私でした。


(メディア化されても、つまりは周りが変わっても)漫画家としてやるべきことは何も変わらない、すごい一言です。


Pray  for  Japan


タイトルは一緒で、男性2人の洋服も変わらないので大丈夫だと思います。
萩尾望都さんも、『大奥』と『きのう何食べた?』を楽しみに読んでます、ということでした。