図書館で面白そうと思って借りて来ました。

娘さんと一緒にパラパラと見ながら、

やっぱりね〜
そうかなぁ〜
読んだことある?
誰?この人…

最後は、やっぱり芥川龍之介はカッコいいわね〜で終わりました。


面白さ、美文、思想性、独自性、読みやすさでアンケートを取ってランキングされていました。
(ちなみに宝島社が発行されています。)

ベスト50位まで発表されていました。ベスト10はカラーでイラスト。ほぼゲームキャラではないかと。20位まではモノクロ。それからは写真で紹介されていました。

それぞれのナンバーワンは、

面白さ…内田百間  名前は知ってます。最近猫が好きだったと知りましたが未読です。エッセイが薦められていました。

美文…川端康成  娘さんは納得の第1位と。最近読んだらしく素晴らしいを連発しておりました。

思想性…小林多喜二  2人ともプロレタリア文学だよね、でした。最近ドラマになっていたと記憶してますが…未読です。

独自性…夢野久作  よくわかりません。文中の言葉を引用すれば「エログロを文学に昇華できた」作家さんだそうです。未読です。

読みやすさ…星新一  これは本当にそうだと思います。素晴らしい。文学的な評価ではなくて一人でも多くの人に読んでもらえる事を大切にした作家さんで、再販の度に手を加えて時々の子供達がすんなり理解できるようにし、時代遅れになった部分を修正していたと。娘さんもとても記憶に残っているらしくてボッコちゃんはとても怖かったと。SFでショートショートだけど現実に起こるんじゃないかと思えて怖くなってしまうんです。


亡くなった父親はよく本を買う人で家には日本文学全集50巻があって、読んではいないけど毎日眺めていたので名前は覚えました。字も小さくて興味は湧きませんでしたが今はとても買えないので納屋の二階にそのままにしておこうと思ってます。

ページ、ページにちょっとした情報があって近代文学を専攻していた私にはそうでもなくても娘さんには新鮮だったようです。菊池寛が文藝春秋を作ったと知って驚いてました。
安部公房の評価の高さについての説明を読んで納得したり、社会的地位の高さナンバーワンの武者小路実篤。藤原北家。『孤道』でいろいろ調べました。
個人的には獅子文禄さん、向田邦子さんを読んでみたくなりました。

そして、『幸田家のことば』を読んだばかりなので幸田露伴、幸田文が親子でベスト50位に入っていたのが嬉しく青木奈緒さんが書かれてあった事がそのままでした。
幸田露伴…固い美学  露伴にとって、自分をしっかりと持ち、己の真に忠実に生きることが美学。
幸田文…エッセイの達人  日常的な言葉で的確に場面を切り取りつつ、流れるような文体で読み手を離さない。季節のうつろいと人の心を巧みに重ね合わせる技は叙景のお手本とも言えるレベル

総合力ベストスリーです。 

1位…谷崎潤一郎  そうだろうなぁです。全てにおいてスケールが違います。
ちなみに「人間の美を謳うために生まれてきた男」とありました。

2位…夏目漱石  納得ですね。娘さんから何を読んだのかと訊かれたので『坊ちゃん』『吾輩は猫である』をあげると、すごいと褒めてくれました。特に吾輩は長すぎるから挫折したと言う娘さんに母の方が…です。
こちらは「Mr.近代文学  お札にもなった国民的作家」とありました。

3位…宮沢賢治  娘さんは宮沢賢治でいろいろやっていたので納得みたいだけど…
私は教科書で読んだくらいなので…
なんで読まないの?と訊かれたので『イーハトーブの幽霊』を読んだと答えておきました。
娘さんに浅見さんじゃん、と言われましたが。
「純粋と誠実に生きた夢追い人」と宮沢賢治にはありました。

それぞれ作家の個性と代表作品の解説がコンパクトで面白かったです。皆さん高学歴で放蕩するかしないか、今の作家さん達を思うと夢のような人達に思えます。

巻頭の福田さんの文章がまた素晴らしくて、数学者の藤原正彦さんの言われた事を引用されていました。いわゆる理系脳は国の方向を誤ると。理由は大局を読めず危機に際しては対症療法しかできないからと。
本質は表面から離れた深いところに複雑に絡み合ってある。普段は目に見えない複雑な絡み合いを描くのが文学。文学というのは世の中を知ること。人を知ることに通じていると。柳澤桂子さんが言われる「高尚な脳の活動」にも通じるのかなと思います。

そういえば東大の先生がTwitterで安倍総理と麻生財務大臣は偏差値が低いからと発言されていましたが…藤原さんの言葉が当てはまりそう。



文学の面白さがたくさん詰まった一冊でした。
今の世の中を考える一冊にもなります。


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