読み終わるのに随分と時間がかかりました。娘に「珍しい。まだ読んでるの?」 と言われてしまいました。確かに、260Pが進まなくて日にちばかりが過ぎ、読み終わったら早々に返してしまいました。
いつもなら平坦で真っ直ぐな川上弘美さんの文章(私が感じてる)が、好きなのに。どうしたのか次を読みたいとは思えなくて、時間ばかりたちました。
夫である礼に失踪された京。今は娘の百と母の三人で暮らしてる。彼女は物書きで編集者の彼がいる(既婚者)。京は憑かれている。女に。何かのおりに現れる。
礼の残した物から「真鶴」を見つけ訪ねる京。憑く女。二人が近づき話し合う。礼は殺されたの?、私が殺したの?、私は何を見たの?、あの女は誰?、首を絞めたの?女ははっきりとは答えない。
この女は誰なのか?と。京自身。彼女が自ら作りだした物。語りかけ近づいていく。
解説を読んでもよくは理解できなかった。京は誰を待っていたんだろう。礼。違うような気がする。誰も待ってはいない。日々の生活のなかて少しずつ溜まった物。胸の中でしこりになった物。
私だったらどうするかな?と思った。きっとそこに居るだけだと思った。待ってるのではなく居る。普通に暮らすと思う。自分自身にいろいろ話しながら。私はきっと「かわいそうな人」になりたくないから。必死になって理由を捜しながら。母親でもあるから優しい顔も持ちながら。そうすると京みたいに分からなくなるのだろうか。
やっぱり重たくて難しい。

川上弘美さんは大震災のあと、新聞の連載小説を泣きながら書いたとありました。「続きが読みたい」という声に応えて、だそうです。

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