日明さんのデビュー作を読んだとき、「?」の3乗ぐらいの気分(もっとだったかも)でした。唯一の救いは最後に出て来た刑事さん(確か幹部候補生のキャリアだったと記憶)が、可能性有りと感じたぐらい。それ以来です。「鎮火報」の意味も知らず読みはじめましたが、実に面白かったです。消防士の話です。ちょうど息子の友人が消防士の試験を受験中だったので、応援してましたが…、現実は厳しいようです。
主人公は雄大。父親も同じく消防士だったが殉職してます。だからといって父親の後を継ぐ意志は全くありません。楽をするための公務員。そう割り切ってます。そうでないのはミエミエ何ですが。素直さとは対極にいる人です。職場にいる人はよくわかっているからラストの自殺騒ぎの後の仲間の対応に、ウルウルとしてしまいました。
事件を追うというより消防士の方々の日頃の様子の描写に興味が行きました。「消火栓」の持つ意味がわかり、サイレン、訓練、夜勤、食事の支度、草刈り、動物の捕獲等本当に大変何だと読んで行くにつれて思い知りました。今回の大震災での活躍も毎日の訓練があるからこそと思い、信じられます。
ストーリー的には、不法滞在している外国人の住むアパートの連続放火事件になりますが、小坂という人の独白が響きました。言われてみればそうなんだと。普段は気が付かない事。気にも止めない事。反対の人もいる。だから、生きる事は辛く楽しい。でも、犯罪を犯してまでの正義はありません。
一つ気になる台詞が「子どもは残酷だから」。雄大の年上の友人の守の言葉。小坂に関する場面でしたが…。嫌な気持ちでした。
雄大の心の葛藤とか読みごたえ十分でした。前作よりは遥かにです。
ラストの自殺未遂の場面でのガソリンの気化、ドラマの火災調査官でもありました。納得して見ました。

暑いから
日傘デビュー
思わず
クルクル回して
少女気分

Pray for Japan