真綿荘というのは安普請の下宿屋さん。そこに住む五人の物語となるでしょうか。島本さんには珍しく明るい(?)話でした。みんな内面的には鬱々としたものがあるのに、救われる人達でした。
主人公は誰とも言えませんが、私としては「鯨井小春」ちゃんになります。
彼女は自分の容姿に(ちょっと大きいのかな)コンプレックスがあって控えめで優しい人です。彼女は同じ下宿の「大和葉介」君に恋をしました。でも彼は気づかない。同じ真綿荘に住む人達は気づいてるのに。鯨ちゃんに恋をする男性「荒野君」は、何とか思いを伝えようと必死です。(私にはそう見えました)だけど、叶わない。鯨ちゃんに「好きな人がいる」と言われて落ち込んでしまう。それでも彼女が病気だと聞けばお見舞いに行き、大和君に出会って泣いてしまう。敵わないと思って。お見舞いのお礼を持って会いに来た鯨ちゃんに「人間としても女性としても好きだ」と告白。彼は「自分で自分を救うために好きであることを続ける」と。彼には両親からの虐待という過去があり、鯨ちゃんといると安心出来ると。ここまで来るのに大分時間がかかりましたが。鯨ちゃんは一緒にいてあげる事にしました。
荒野君にとって鯨ちゃんは真綿みたいな人です。優しく包んでくれて安心させてくれる人。
真綿荘の住人さん達はそれぞれの真綿を見つけます。見つけられてないのは大和君だけとなりました。でも、彼は成長しました。

人にとって安らぎの場所、安心出来る場所というのは絶対必要な事。被災地の方々にも早く手に入れてもらいたいと願います。

手の平の
砂がこぼれる
握れば
少し残る
私の思いも

Pray for Japan