タイトルになっている「君が降る日」というのがメインの作品です。恋人を交通事故で失なった志保、その時ハンドルを握り生き残った五十嵐さん。この二人の心の動きが描かかれています。流れたり、止まったりしながら時間だけが過ぎて 行く。体は無理矢理でも触れ合う事が出来ても、その先はない…。
私は好きになれませんでした。この作品。島本さん自身が恋人の死というテーマはハードルが高いとあとがきで書かれてましたが、何かまだ胸にしっくり来ませんでした。親でも子どもでも友人でも「死」を書くのは難しいと思いました。
むしろ「冬の動物園」のほうが、すっきりして私は好きです。ずっと思って信じてつくして来た恋人に振られた美穂。そんな彼女にちょっかいを出して来た年下で、高校生の森谷君。彼は年上の女性が好きで、遊んでるチャラオ君。でも、気遣いや心配りがちゃんとしていて将来の目標もある。型にはまりきっている美穂には拒絶したくなるタイプ。でも、こういう男性こそが女性を魅力的に成長させてくれるはず。「頑張って」とエールを送り、ラスト元彼からのプレゼントを燃やすシーンでは拍手。女ってふっ切れると強いし前に進みます。
最後は「野ばら」。これはラストの谷川俊太郎さんの詩が素晴らしい。私はこういう内容の作品はちょっと好みではないので、全て救われたような気がしました。

大震災から一ヶ月。あれから知った事の一つに携帯電話の「緊急地震速報」。付いていた事も知らずに生活していた。知らなかった頃には戻れないだろうと思う。人間は恐怖を一番に記憶するから。

足元で
花びらを踏んだ
思わず
ゴメンとつぶやいて
空を見上げる

Pray for Japan