あさのあつこさんも好きな作家の一人です。この作品は?って考えて、一杯泣いた、と。テーマは何だろう。「愛」かな。親子、兄妹、男と女、片思い、嫉妬、友情、たくさんありました。ページ数は長くないのに凝縮されて迫って来ました。
夫の浮気が原因で離婚して、息子と娘(本当は姪)の三人で暮らしている。息子は陸上部員だけど今は休部している。理由は妹の面倒を見る為と。本当は違う事を本人が一番良く知っている。母親は夫に似ている娘が愛せなくなっていく。触れられるのも嫌で虐待してしまう。笑わなくなってしまった娘、色のない絵を描く妹。どうにもならなくなって元夫に助けを求める妻。それはおかしいという兄。でも、最後は母親を選ぶ娘…。
子どもって、ちょっとした仕草を見抜きます。私も娘に「どうしてさっき手を離したの?」、「ママが手を繋いでくれなかった」って言われました。「そんな事ないよ」って言ってたけど、めんどくさかったり、自分自身の機嫌が悪かったりして繋がなかった。分かってたんだけど出来なかった。子どもは気配を敏感に感じとるから、母親の側にいていいのかどうかわからない。でも、母親しかいないから。虐待されても行く所はない。
色んな気持ちが溢れて最後は涙、涙でした。特に、小さい頃から出来る子って言われてて、夫からも「君なら一人でも大丈夫。でも、彼女は僕がいないとダメなんだ」と言われる妻。少しも大丈夫じゃないのに。言葉に出して言う事が出来ない。何か自分と似ている所があって涙でした。
ラスト、妹の大好きな兄は再び走り始めました。

大震災の地を走っている高校生の写真が新聞に載っていました。ガンバレの一言です。

信じる?
信じられない?
どっちなの?
信じてるよ
大好きだもの

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